ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

2012122622時10分

「ウォームシェア」に思う

今日の読売夕刊は、「広がるウォームシェア節電」を取り上げている。

解説によると、「ウォームシェア」とは、人が1か所に集まって暖かさをシェアー(共有)することで家庭の節電を図る省エネ運動とのこと。

記事の締めくくりの部分を紹介する。

<家庭のCO2排出量の内訳では、暖房は全体の14.6%を占める。冷房の2.6%の約6倍だ。東京理科大の井上隆教授(環境建築工学)」)らが行った意識調査によると、環境意識の高い人ほど冷房は暖房よりエネルギー消費が多いと思い込んでおり、夏場の節電に力を入れているという。井上教授は、「冷房より暖房を止め、風呂を沸かさず銭湯に行った方が、エネルギー消費は大きく減る」と話している。>


「温暖化対策にも効果あり」と、滑稽なほど短絡的なまとめであることはさておくとして、「暖房を止め、風呂を沸かさず銭湯に行く」という言葉に、私は新婚時代を思い浮かべた。

当時、アパートには風呂がなく、まさに暖房止めて銭湯へ通う毎日だった。女房が前髪につららができたと言うほど寒い日もあった。帰ってくると部屋は冷え切っていて、大急ぎで石油ストーブをつけたものだった。

いまから45年も前の話である。

もう二度とあんな体験はしたくない。


ここで知っておきたいことは、「家を暖める」と「暖かな家を造る」との違いについてである。

前者は暖房の問題であり、後者は家造りの方法である。暖かな家というのは、高気密・高断熱・換気に優れていることが絶対条件で、それらが高度に満たされているなら省エネで全館暖房が可能になる。それらが中途半端に造られた家では、人がいる部屋だけを暖めるのに、高性能な家1軒分のエネルギーを消費しかねない。

「涼温換気の家」では、暖房は冷房の1.5から2倍程度のエネルギー消費で済んでしまう。夫婦二人の暮らしであっても、ウォームシェアの必要性は乏しい。家中が暖かいので一部屋でくっついていなくても快適に過ごせるからだ。

「寒い家 夫婦厚着で こころ冷え」にならない家を建てることこそが、温暖化対策に最も有効だと私は確信している。

ところで、まるで戦時中であるかのように「家を暖める」でもなく、「暖かな家を造る」でもない提案を、無批判に美化するマスコミは、デフレを煽っているように思えてならない。

景気は国民の気分の在り方だとすれば、政府が、寒い家での我慢の節電を求め、ウォームシェアを呼びかけていたのでは先行きが思いやられる。

さらに心配なのは、暖かさを共有して帰ったわが家が冷え切っていたのでは、健康被害に見舞われ、医療費が増大する確率が高まりかねないことである。


今日も寒かった。

日中日差しはあっても5から7度止まり。こんな寒い日でも「涼温換気の家」では、夫婦で銭湯に行く3分の1程度の費用を掛ければ、十分暖かく暮らせるのだからありがたい。


松井 修三

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