ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

201352222時35分

25年後の暮らしを想像することができますか?

Aさんの家は、コンクリート造の二階建てで、太平洋が一望できる鎌倉海岸沿いの高台にある。

私と同じ年のAさんは、夏は湿気を伴った生ぬるい海風に、冬は体の芯まで冷える寒さに25年間も悩まされ続けてきたという。

「もう我慢の限界です。住んだ当初は、主人も私も眺望に惚れこんで眺めを楽しんで暮らせることに感動したものです。しかし、3年も過ぎた頃から、コンクリートの家特有の暑さと寒さは尋常ではないことを思い知らされるようになりました。

季節の良いときは海を眺めて、自分たちの選択を肯定し元気をもらうのですが、70歳過ぎるともう辛さばかりが重荷に感じられ、毎日が後悔です。

それに最近では20段近い階段の上り下りをこれからも続けられるのか自信がなくなってきました。平地に買い替えようと不動産業者に相談もしたのですが思ったようにうまくいかないことを知り、そんなときに松井さんの本を読んで、こんな家にぜひとも住んでみたいと思い勉強会に参加したのです。

なんとか建替えてもらいたいのです」


私は、Aさんの話を聞きながら「湖の一望という寒さあり」という句を思い浮かべていた。詠み人は忘れたが、住宅雑誌に掲載される眺望に優れた立地に建つコンクリート住宅を見るたびにその句が思い浮かぶのだ。


問題はアプローチだ。道路と高低差がある場合はガレージと玄関を一体化し、エレベーターで上り下りすればいいのだが、敷地が広いので簡単ではない。

かなりの予算を必要とする。Aさんに限らず、家を手に入れるのにだれも25年後の暮らしを想像はしない。

74歳になって、「今決断しないことには、もう心身ともに建て替えには耐えられない」と思いマンション暮らしをしている二人の子供に相談した。

「マンションで暮らせば・・・」と二人とも口を揃える。

でもAさんは、「コンクリートの家にはもうこれ以上住みたくはありません」と言う。

「この年になって、住みたくない家に住み続けなければならないことが、こんなにも辛いとは・・・。毎日主人とため息ばかりついています。いずれは子供たちも同じ思いに悩まされるときが来るのかと思うと、つくづく考えさせられます」。


私も、50歳の時に25年後を想像した家づくりはできなかった。毎日、「住む楽しみ」を味わっている人がいる半面で、Aさん夫妻のように「住む辛さ」に耐えている人も多いのではなかろうか。

幸いにも、近くには「いい家」をつくる会のオークランドホームさんがおられるので、ぜひ相談するようお勧めした。


一昨日、世田谷区野沢でK邸の地鎮祭を行った。

玉串を奉りながら私は誓った。

「25年後に、必ず建ててよかったと感謝していただける家を造ります」と。

松井 修三

アーカイブ

2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年