「いい家」をつくる会 会員コラム

2012年8月16日10時13分

「涼温換気」の醍醐味

 久保田紀子さんから毎朝、「涼温換気」につて報告のFAXが入ってくる。
 測定機が8ヵ所に設置してあり、それらのデータをパソコンに吸い上げるとグラフ化されるので、それをメールしてくればいいのだが感性を重んじる人らしく手書きである。
 不思議なもので手書きされると、数値が理性の範囲を飛び出して、涼しさ・暑さという感性的な意味合いを発揮して見える。

 報告の冒頭に、家の内部と外の絶対湿度の比較がある。家の中は12.2gで「サラッとしている」。外は18.6g、「無風で空気がベタッとしており重い感じ」とある。
 この状況で窓を開けたら、湿気が止めどもなく家の中に浸入してくる。
 「ソーラーサーキットの家」の床下ダンパーは地面に近いだけに、さらに湿気た空気が入ってきてしまう。家の中は、蓄熱・保温・保湿状態となり、エアコンをつけたとしても除湿効果を得るのが難しくなってしまう。省エネの逆を行くことになりかねない。

 久保田邸は、「涼温換気」にしてから今日で1週間が経過する。久保田さんは3日間ほどやや戸惑っていたようだが、「暑からず寒からず、グッスリ眠れた」と書く日が増えてきた。「このサラサラ感がなんともいえなくすばらしいですね。“涼”に関しては申し分ないと思います」とも言う。

 8月6日に私はこのように書いた。
 <「涼温換気」というのは、センターダクトで供給される浄化され全熱交換された換気の流れに、「涼」と「温」という味付けをするものである。すると「涼味」は、かつて味わったことがないほどのすばらしさになる。>
 報告には、「自分の肌に合う涼味を探す・見つける・掴むことが大事」とある。
 久保田さんも、「涼温換気」の醍醐味に気付きつつあるようだ。

 なお、「醍醐味」には、美味の最上のものという意味のほかに、本当の面白さ、深い味わい、神髄という意味がある。私は、さきほど事務所に行って「涼温換気」の醍醐味を堪能してきた。二重ドアで仕切られた書庫やトイレの中も「エクセレント!」だった。

                          松井 修三

2012年8月9日10時05分

「小屋裏エアコン」対「涼温換気」

 わが家の「涼温換気」7月28日から8月7日までの10日間の消費電力は、98.6kw。電気料金は概算で2268円。一日当たり約268円であった。
 この間、記録的な猛暑が続いたのだが、24時間、家中どこにいても、目が覚めてから寝るまで、いや寝てからも、かつて体験したことがない上質な「涼感」を味わうことができた。
 サラッとして爽やかで、さりげない涼しさなのである。

 昨日の午後5時頃から、久保田紀子さんの家でも涼温換気がスタートした。
 断熱ダクトではなく既存の普通ダクトをそのまま使うので、熱ロスが生ずるし風量が確保できないなどと技術の方では難色を示し、久保田さんからはどうせやるならダクトを交換し完全版でお願いしますと言われたが、私の要望で実証実験に入らせてもらった。
 「新換気」の家、つまり断熱ダクトでなく普通ダクトで、はたして「涼温換気」が効果を発揮できるのか、それを知りたい気持ちがはやるからである。

 しかし久保田さんは、5日のブログに書いたように、小屋裏エアコンで十分涼しいと満足して暮らしているので、そこに「涼温換気」を入れる必要性が飲み込めていない。
 午後から気温は23度ぐらいまで下がり、猛暑が一息ついた。案の定1時間もすると「25度に設定しているのですけど、ちょっと寒い感じがします」と、やや不満げな報告がきた。
 「普通のダクトでそれだけの効果が出るということは、それなりに評価できることです。寒いと感じたらエアコンの設定温度を上げるか、それでも改善されないならスイッチを切ってください。外気温が23度以下ともなれば、新換気のバイパス機能だけで十分ということですから」。

 久保田さんは言外に、「私は小屋裏エアコンの方が好きだ」とにおわせていた。
 小屋裏エアコン」にするか「涼温換気」にするかは、その日の気候、生活の状況、体調などを総合的に判断して気楽に決めてみてくださいと、私は言った。
 私の家でも選択できるのだが、私も妻もすっかり「涼温換気」のとりこになってしまったようだ。でも、昨日の夜はエアコンを止めて寝た。つまり、「新換気」だけで十分快適だったということである。

                          松井 修三

2012年8月7日20時00分

湿度コントロール

 猛暑の中、涼温換気の説明会に下記の各社が参加した。
栃木県:マーベルホーム/新潟県:高橋木工所/千葉県:山崎建設・水戸工務店・ウスクラ建設/群馬県:広瀬住宅/長野県:中島木材/岐阜県:共和木材工業/大阪府:あおいホーム・木創工房/東京都:谷村工務店・牧野製材所。

 涼しさを体感した後で、全社がお客様にお勧めしたいとたいへん前向きだった。中には、すでにお客様から問い合わせがあり、今日の説明会の報告を楽しみにされているという会員もいた。
 40坪の広さの家の中に一時に25人ほどが入ると、湿度が20%近く上昇した。しかし、ものの15分もするとみるみる下がって50%台で安定したのには、みんな一様に驚いていた。
 このように湿度コントロールができるのが、涼温換気の魅力の一つだ。

 やや太り気味の中島木材の専務さんが、「私はエアコンが効いている家に行っても、なかなか汗が引かないで困るのですが、ほら、見てください。この家では、不思議なほど汗がスーッと引いてしまいました」と笑われた。

 住み心地の良さは、絶対湿度と体感温度に着目し、全熱交換換気を確実に行わないことには得られない。無垢の木と漆喰をふんだんに用いたとしても、「自然換気」ではダメなのである。

 次回は、8月21日を予定している。

                          松井 修三

2012年8月6日22時04分

他に比類のない住み心地の家


 「涼温換気」というのは、センターダクトで供給される浄化され全熱交換された換気の流れに、「涼」と「温」という味付けをするものである。
 すると「涼味」は、かつて味わったことがないほどのすばらしさになる。「温味」は、加湿の加減によるところが大きいが、不思議とエアコン暖房の「直風の嫌味」がなくなる。なぜそうなるのか、理論付けは可能だと思うがそんなことをしなくても、理屈抜きに肌合いが思ったよりもいい。

 住み心地は、構造・断熱の方法・換気・冷暖房の方法によって決まる。構造は木造、断熱の方法は外断熱、と同じであっても、センターダクト方式の換気とそれ故にできる涼温房は、今のところ「いい家」をつくる会の会員以外には創り出せない。

 過日、横浜事務所で体感した大阪の「大成」さんからメールが入った。
 <帰阪しまして、営業中のお客様に「涼温換気システム」について、私たちが体感したままを説明しましたところ3件のお客様がぜひ採用したいということになりました。また、昨日契約をいただいたお客様は、「涼温換気」が条件になっています。お客様の関心の強さはこちらが驚くほどです。一日も早く、体感ハウスを「涼温換気」に変えたいと思いますのでご協力をよろしくお願いいたします。>

 マツミでも、本日ご契約をいただいた町田市のMさんから「涼温換気」の依頼を受けた。Mさんは、10年前に買ったという<「いい家」が欲しい。>を持参された。「私は、本に赤線を引くということはめったにしないのですが、当時この本を読んで感動し、こんなにも赤線を引いたんですよ」と言って、本を開いて見せてくださった。

 今日は、「いい家」をつくる会の会員さんたちへの説明会の初日だった。
 遠くは福井県から「堀井工務店」さんが来られた。富山県の「北新建工」さんはバスをチャーターして社長をはじめ専務さん社員さん、工事関係者の方々が大挙来られた。茨城県の「吉建ホーム」さん、神奈川県の「オークランドホーム」さんは、それぞれ社長さんをはじめ5名の社員さんが参加された。

 「涼温換気」、この画期的なシステムを、お客様の感性との二人三脚で育て上げ、健康増進に役立つ他に比類のない住み心地の家を創りたい。

                          松井 修三

2012年8月5日22時00分

涼感満点 小屋裏エアコン

 東京体感ハウスと横浜体感ハウスに来られたお客様が、小屋裏エアコンによる涼感に関してそれぞれこんなことを言われた。

 横浜に来られたお客様は、5才の娘さんが体にまとわりつくと、「家では暑苦しくてベタベタするのですぐに止めて」と言ってしまうのですが、この家ではまったく気になりません。
 本当に気持ちの良い涼しさですね、としきりに感心されていた。湿度が少ないから、親子の肌が汗ばまないのだ。

 東京に来られた年配のご夫婦と娘さんは、「不思議な家ですこと。わが家では階段を上っていくと、一段一段暑さが増して、上りきったときにはすぐに下へ降りたくなります。
 小屋裏の普通のエアコン1台で、65坪の広さの家中がこんなに涼しいなんて、しかも1階も2階もどこも同じ涼しさだなんて、とても信じられないことです」と感動されていた。

 横浜で案内をした久保田紀子さんは上記のように報告した後で、「私の家も小屋裏エアコンがすばらしい効果を発揮しています。それでも、涼温換気にしなくてはなりませんか?」と質問してきた。
 「涼温換気にしても、小屋裏エアコンを撤去しなければどっちがいいか試せるのです。涼温換気と小屋裏エアコンと、どっちの涼感が久保田さんの肌に合うか、ぜひ試してもらいたいのです」と答えた。

 社員からの報告では、小屋裏エアコンに対するお客様の評価はすこぶるいい。とくに「新換気」の家にお住まいの方からは最上級のお褒めをいただくことが多い。

 「ソーラーサーキットの家」で小屋裏エアコンの効果を得るには、「新換気フォーム」が必要だ。思い切ってやってみると、その効果に感動すること請け合いだ。

                          松井 修三

2012年8月4日21時56分

涼温換気SA‐SHEの家 第1号決定!


 朝日新聞「天声人語」が「外断熱」で私を取り上げたのは1999年。13年後のいま、当時取り組んでいた「ソーラーサーキットの家」は、「涼温換気SA‐SHEの家」となり目覚しく進化している。

 今日の「天声人語」は、「涼」について書いていた。
 その真下には<「いい家」が欲しい。>の広告があり、「涼温換気」を発表した直後だけに興味を引かれた。
 要約すると、
 <「涼」の字を眺めるだけで、ふっと体感温度が下がる気になる。寺田寅彦のエッセイに「涼しさは瞬間の感覚である。持続すれば寒さに変わってしまう」とある。今、スイッチひとつで人工冷気が部屋に満ちるのはありがたいが、そのぶん人の五感は鈍りがちだ>となる。
 そうなったのではよくないと思う。

 「涼温換気の家」も「人工冷気」によって涼しさを得るのは間違いない。つまり、エアコンによる冷気である。実際体感してみると分かるのだが、涼しさは持続すれば寒さに変わってしまうのは確かだ。そう感じたら、運転を停止すればいいだけのことなのだが、遅かれ早かれ暑さが戻ってくる。
 そこで思うことは、涼しさを快適と感じる時間の長さが問題なのだということである。
 理想は24時間だ。高温多湿な熱帯夜が続いても、朝・昼・夜と快適な涼しさが続くとすればこんなありがたい家はない。それが「涼温換気SA‐SHEの家」、と自慢したいところなのだがそうはいかないところがある。除湿機能は優れているが加湿機能はないので、冬の乾燥対策が住む人に委ねられている点だ。

 「涼感」は家中どこも同じというわけではない。部屋や場所によっては物足りなかったり、冷えすぎると感じる場合がある。だから、家族の感受性を事前によく確認して設計しなければならない。昨日も書いたが「パーフェクトな快適」を求めるのではなく、家族一人ひとりが「まあまあ」満足するようにすることが大事である。
 また、一定に続く快適を不快と感じる人もいるだろう。そのような人には、適度な「ゆらぎ」があるといい。
 そのために効果を発揮するのが扇風機である。シャープが開発したDCモーターの小型機は、実に優れている。「涼しさは、瞬間の感覚」を見事に味合わせてくれる。
 天声人語子が体感したら、「人工冷気」であっても人の五感は決して鈍ることなく、むしろ研ぎ澄まされて、暮らしをより楽しむことができるようになることを知って驚くことだろう。

 今日、東京事務所で契約されたSさん夫妻は、約3時間ほど「涼温換気」をじっくりと体感された。そして、快適さに満足され、我慢の節電ではなく、「快適節電」になる点も高く評価され、「涼温換気SA‐SHEの家」第1号となることを決断された。
 一方、横浜事務所で体感されたSさんご一家は、暖房は蓄熱式電機暖房との併用を検討されることになった。

                          松井 修三

2012年8月3日21時53分

「涼温換気SA‐SHEの家」の住み心地

 快適にパーフェクトはない。もしあるとすれば、パーフェクトであることが不快になるはずだ。
 だから、本物の快適は無意識なのだ。ときおり、ちょっと寒い、暑いと意識するのは、香辛料を上手に使った料理のようなもので快適度を増すのに役立つ。
 温度・湿度・においについて無意識である状態は、実に気持ちがいい。「涼温換気」は、その気持ちのよさをもたらしてくれる。

 ちょっと暑い・寒いからとエアコンを使ったとする。風が吹き出てきた瞬間に意識は働き、感性が目覚める。気持ちよく感じるのはほんのつかの間であり、冷風・温風に我慢を強いられる。そこに吹き出し音が加わると一挙にストレスが増す。

 温泉は大好きだ。しかし、行くのは気が引けてならなくなった。
 旅館の夜は、エアコンによる不快さとの戦いとなると想像できるからだ。止めれば暑くなるし寒くなる。窓を開けたままでは防犯が心配だ。
 涼温換気の家で10日過ごすと、温泉に行く気になれなくなってしまう。
 別荘に行くのも億劫になる。
 こんなに出不精になってしまっていいのだろうかと、真剣に自問自答を繰り返す。言い換えれば、こんな快適な環境に身を浸していて何か問題にならないのかと心配したくなるのだ。それほど、涼温換気は気持ちいい。
 あくまでも、私にとってはである。
 この世に、いまのところこの家に住んでいる家族は、たったの二軒である。
 もう一軒に住む社長一家も絶賛している。だからといって、我々の住み心地についての証言は、あまりにも客観性に乏しい。

 しかし、哲学者・桑子敏雄氏は、「感性哲学2」(東信堂)にこのようなことを書かれている。
 <「住む」ということは「引っ越して暮らす」という行為であるとともに、一定の空間に身を置いて心のあり方を空間と一体化するということでもある。つまり、たんなる一回的な行為ではなく、持続的状態を選択する行為であるということである。したがって、「住む」体験によって得られるものは、「通う体験」や「訪れる体験」とは本質的に異なるものを含んでいる。住む体験のもとに語られることばは、通うひとや訪れるひとによって語りえないものである。>

 この観点から、「住む体験のもとに語られることば」として、二家族の証言は十分価値があると自負している。
 今月20日過ぎには、久保田紀子さんも証言者に加わる予定である。来年の今頃には、証言は優に100を超えると想定される。

 「涼温換気」については、http://ii-ie.com/sashe.htmをご覧ください。

                          松井 修三

2012年8月1日16時10分

涼温換気(商標登録済み)について

 「省エネルギー、つまり、ランニングコストが安くて、しかも快適な冷暖房の方法は何か?」

 住み心地の質は、構造・断熱・換気・冷暖房という四つの要素によって決まることは、高気密・高断熱の家造りに携わる造り手なら知らない人はいない。

 「いい家」をつくる会では、構造は木造軸組みを、断熱の方法は外断熱を、換気の方法はセンターダクト方式の「新換気CD‐HEV」を、そして暖房の方法としては蓄熱式電気暖房機・スラブヒーター、冷房は個別対応のエアコンという組み合わせをベターなものとしてきている。
 しかし、冷暖房の方法に関して、3.11以後造り手と住まい手の双方に迷いが生じていることは確かだ。電力供給への不安が毎日のようにマスコミに取り上げられている状況下で、これまでのような冷暖房の方法でいいのだろうかという疑問が生じるのは至極当然のことであろう。

 そこで、冒頭の質問に対する答えが、待ったなしで求められている。

 答えは、高効率の「エアコン」だ。

 「光冷暖」や、床暖房を輻射冷房として併用する提案などがあるが、家庭において、省エネで冷暖房効果を速やかに発揮できるものとしてはエアコンに優るものは見当たらない。
 しかし、エアコンは即効性がある半面で、快適に感じる時間が極めて短いという欠点がある。多くの人がエアコンから吹き出される冷・暖気流を快適と感じるのはものの15分程度であり、その後は不快と感じたり、嫌悪する場合すらある。

 かといって、高気密・高断熱に造られた高性能な家であればあるほど、夏には人体が発する熱や生活の排熱・日射熱などが不快要因になるので、エアコンに頼らないことには快適を維持できない。
 当会がお勧めしている「小屋裏エアコンによる間接冷房」はたいへん好評をいただいているが、間取りや広さや生活の仕方によって効果にかなりの差があって、それだけでは物足りなさがあることは否定できない。

 そこで、マツミハウジングは、センターダクト方式の換気システムに、1台のエアコンをドッキングさせて家中をくまなく冷暖房できる方法について研究開発を進めてきた。すでに実証実験を2年前より横浜実験棟にて、また、昨年12月より私の自宅において、そして今年6月より社長宅にても開始している。

 実際に体感してまず感動することは、各部屋のエアコンを用いることがないので、先に述べたようにそれらが吹き出す冷・暖気流の不快さをほとんど感じないで済む点だ。「冷暖」がマイルドになり「涼温」という感じになる。そのうち冷暖房を意識しなくなってしまう。快適の質が驚くばかりに向上する。熱帯夜が続いても、夜中にエアコン操作を行う必要がまったくなくなるから熟睡できる。

 通常小屋裏に設置されるシステムの形状は、「全館空調」のように大掛かりで押し付けがましいものとは違ってコンパクトにまとめられている。第一種全熱交換型換気装置とエアコンの組み合わせ方は独自に開発したチャンバーBOXでドッキングされており、操作とフィルターの掃除と維持管理が簡単で、音も静かだ。

 「涼温換気」が「冷暖」と称さないのは、「冷暖」よりもマイルドな快適さを発揮するからだ。先にも述べたとおり、エアコンからダイレクトに吹き出される気流は決して快適ではない。私のように「気流過敏症」にとっては、時に暴力的ですらある。自分が不快に感じるのに、お客様に「これしか方法がない」は不正直ではないか。

 上質な住み心地を追求するかぎり、この問題をなんとしても解決しなければならない。

 その一心がようやく実ったのである。

 「涼温換気」の吹き出し口1ヶ所の大きさは、壁掛け式エアコン本体の表面積の15分の1程度であり、見た感じも比較にならないほどすっきりしてスマートだ。部屋の居住者が不要と感じた場合は、吹き出しグリルを閉じることで個別対応ができる。

 冷え過ぎと感じたら温度設定を変えるか、スイッチを切ることになるが、要領はこれまでやってきた個別エアコンの扱いと同じである。「SA‐SHEの家」は、冬には蓄熱・保温、夏には蓄冷・保冷効果を発揮し、センターダクト方式による第一種全熱交換型換気との相乗効果で、エアコンのスイッチを切っても涼温効果が持続する。

 もちろん「除湿」はできるが「加湿」は住人の工夫に委ねられている。「水フィルター」を用いる案もあるが、カビの発生を防ぐ手立てがないのでお勧めできない。

 加湿に関しては様々な実験を行っているが、いちばん簡単で確実な方法は、適当な加湿器を各階のセンターダクトの吹き出し口の近くに置くことである。「新換気」の排気の力で湿気が放射状に拡散し、実験棟ではどの部屋でも40%前後以上の湿度を確保することができた。システムの内部に加湿機能を組み込む実験も行ったが、衛生的、かつ簡易に維持管理することがたいへん難しい。

 さて、「涼温換気」の位置づけだが、これはオプションであって、選択の決定権者はお客様にある。「新換気SA‐SHEの家」にとって、いまのところは必需のものというわけではないが、とても魅力的な提案であることは間違いない。

 「1台のエアコン」による効果は、通常では部屋だけのものだが「涼温換気」では家中で「同時に同様の効果」が得られる。廊下もトイレの中も、床下・小屋裏もだ。システムは極めて単純で明解なので、設計・施工に悩むこともなく、アフターメンテナンスの厄介さもない。

 部屋の中からエアコンが姿を消すと、インテリアの雰囲気が大きく変わって見えるようになる。家の周りの屋外機も1台分を除いて消えるので、通路にゆとりができ、騒音で隣家に迷惑を掛ける心配も大幅に少なくなる。

 さて、「涼温換気」はオプションと述べたが、国のエネルギー政策や制度の展開、または電力事情によっては、1台のエアコンで全館冷暖房をやってのける方法が必需になる可能性が大である。
 そうなると、「涼温換気」を標準装備とし、個別エアコンや蓄熱式電気暖房機をオプション扱いにする方がベターであるということになりかねない。

 いずれにしても、家庭内エネルギーの自給自足は5年以内に義務化されると考えておくべきだ。冷暖房に必要な電力は太陽光発電で賄うとなると、「1台のエアコン」は大きな価値を発揮することになる。

 「涼温換気」は時代の要請を先取りするものであり、上質な住み心地を確保し、健康増進にも役立つという点で正に画期的なシステムと言えよう。

 住宅業界では、「新三種の神器論」による集客合戦が熾烈さを増している。そこでは、太陽光発電・蓄電池・HEMSを装備することだけが目的とされていて、住み心地は忘れ去られている。

 それでは「スマート(賢い)ハウス」とは言えない。真のスマートハウスは、上質な住み心地を確保するために三種の神器を活用して、「涼温換気」を行うことである。

                          松井 修三

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