「いい家」をつくる会 会員コラム

2012年9月25日20時27分

「強い住まいをどうつくる」 上西秀夫著


 TIP構法の開発者である上西秀夫先生が「強い住まいをどうつくる」という著書を、私の本と同じく創英社/三省堂書店から出版された。
 全国のTIP構法の支持者たちから熱望されていただけに、先生のご英断とご苦労に心から感謝申し上げたい。

 TIP構法について学び、実際に見た瞬間、ほとんどの人が「強いものは美しい」と感動する。
 これまでに600棟に近い「TIPの家」を建ててきたのだが、建てるたびに感動を新たにしてきている。お客様から、「マツミハウジングに頼んでよかった!」という最高の喜びのお言葉をいただけることほどありがたいことはない。
 鉄骨造やコンクリート造やツーバイフォーでは絶対にできないものであり、木造軸組の家は、TIP構法なくしては本当の価値を発揮しないと言っても過言ではないと私は確信している。

 久保田紀子著<さらに「いい家」を求めて>の103ページにこんな描写がある。
 「暗くなると、斜め45度に張られたTIP構法の隙間から明かりがもれて、我家は幻想的な雰囲気に包まれた」。
 わずか2行の描写であるが、何年たっても久保田さんの脳裏に思い浮かぶ印象的な光景だったに違いない。

 「強い住まいをどうつくる」を、勉強会参加者にプレゼントいたします。

                          松井 修三

2012年9月25日20時26分

「三菱地所ホーム/エアロテック」との違い


 イギリスから帰国して最初の勉強会は、お彼岸と大雨が重なったにもかかわらず9組のお客様が参加された。
 三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」を検討しているという30代とおぼしき男性が、最初から「反発オーラ」を強く発していて途中で帰って行かれた。その刺激のおかげで、時差ボケの心配が吹き飛んでしまった。
 話を聞いていた社員が、いつもよりも力が入っていましたと感心するほど気合が入った。

 「いい家三部作」を読んだ人は、換気の重要さに気付くはずだ。
 換気と真正面から取り組んでいる点で、三菱地所ホームは強力なライバルである。
 しかし、構造・断熱の方法が違うのはさておくとして、換気の方法が異なる。肝心な「換気の経路」が従来のままであり、「涼温換気」とは正反対なのである。

 住み心地の質を向上し、健康増進を図るには「換気の経路(給気と排気)」を改善する必要がある。仮に三菱地所ホームがそこに気付いたとしても、センターダクト方式にしないことには経路を変えることはできない。それは、構造を木造軸組工法とし、断熱の方法を外張り断熱にするからできるのであって、ツーバイフォー工法で充填断熱では不可能である。視点を変えて言えば、床下と小屋裏を外扱いする家造りではダメなのだ。

 住み心地は、構造・断熱の方法・換気・冷暖房の方法の四つの要素で決まる。
 したがって、三菱地所ホームの住み心地と、マツミハウジングのそれとは明らかに違うのである。
 ぜひ、体感で比較していただきたい。

 ご自慢の熱交換換気システム「エアロテック」は、イギリスで一般的に用いられているMVHR=Mechanical Ventilation Heat Recoveryと極めて類似のものであり、過日紹介したAIRFLOW社のやり方と基本的には同じである。

                          松井 修三

2012年9月20日05時50分

AIRFLOW社



 ロンドンの北へ向かって電車に約30分乗るとHigh Wycombe駅に着く。駅の近くに建ち並ぶ不動産業者の店の多さから、この街での中古物件の売買の活況が推測できる。
 タクシーで約10分、訪問先であるAIRFLOW社にたどり着いた。
 社長のAlan Sigginsさんと、技術担当のGlive Greenstreetさんが満面の笑みで出迎えてくれ、赤色の細いダクトを使った熱交換換気システム(イギリスではMVHR=Mechanical Ventilation Heat Recoveryと呼ばれている)についてのプレゼンテーションをしてくれた。
 わざわざ訪問したのは、前回書いたThe Unico System社が誇る「スモールダクト」との違いを実際に見て確認しておきたかったからだ。
 換気システムが住み心地に与える影響の度合いは、換気装置とダクトによって決まる。それらは自転車の両輪と同じで、両方がバランスよく機能することが大事である。一方がどんなに優れていても、他方が劣れば健康増進に役立つ住み心地は得られなくなってしまう。

 AIRFLOW社の製品の最大の特徴は、施工性の簡易さにある。
 コンクリート埋込専用電線管(CD管)と類似のダクトを用いるのだが、直径75ミリ・内径63ミリという細さで、直角に近く曲げても風量が落ちないというのだから、ダクト工事で悩んでいる多くのビルダーにとって感動的な福音のはずだ。
 尋ねてみたらやはりすでに、日本のある住宅会社から代理店契約の申し入れがあるだけでなく、昨日は中国の会社が見学に来たそうだ。
 「鉢合わせしなくてよかったですね」と、久保田さんが肩を大きくすぼめて見せたので全員が大笑いした。

 スウェーデンやデンマークには優れたMVHRがあるが値段が高い。
 AIRFLOW社のものは性能的に負けてはおらず、しかも値段が安い。
 Sigginsさん(写真の真ん中)はダクトを自在に扱いつつ、「どうだ!」と言わんばかりに胸を張り、一段と声を大きくして説明を続けた。
 最初はゆっくりだったのでよかったのだが、熱が入ると喋りが早くなり、傍らに立つGreenstreetさん(写真の右側)が私たちの表情を観察してはノートに絵を描いて補足してくれたので助かった。

 私は「涼温換気」について意見を求める予定でいたのだか、あまりにも熱心に誠意あふれるプレゼンをしていただいたのと、日本の住宅会社がアプローチしている状況に配慮してしないことにした。

 AIRFLOW社のシステムは、基本的に従来のものと変わったところはなく、ダクトとその施工さがユニークなだけで、「センターダクト方式」とは相容れるものではなかった。
 しかし、大量生産販売をする日本の住宅会社にとって、魅力的な提案であることは間違いない。今回のイギリス訪問で、私は「センターダクト方式の換気システム」の優秀さを再認識した。

                          松井 修三

2012年9月18日03時37分

「なんだ、もっといいシステムがあるではないか!」


 15日にロンドンから電車で1時間Swindomにある英国住宅新築・改築センターを訪問した。「涼温換気」に似たシステムを3社が展示しているのを見るのが目的である。

 今日17日(月)、その中で一番気になったThe Unico System社にホテルに来てもらい、ミーティングルームでプレゼンをしてもらった。荒川さんは帰国し、予定した通訳が来れなくなったので、久保田さんと二人で懇談した。
 冷房・暖房はダイキンか三菱製のエアコンを用いているのだが、関心を惹かれるのはユニークな断熱・消音ダクトだ(テーブルの上にある銀色のもの)。スモールダクトというだけに外周が9cm弱、内径が5cm弱という細身である。
 こんなに細くしたのでは空気抵抗が増し、空気搬送のエネルギーが増大し、ランニングコストが増えてしまうと常識的には判断してしまう。
 それに、モーターの音や風音も高くなり使い物にならないはずだとも。
 ところがアメリカへ年間2万台ぐらいも輸出されているというのだから、そんな推測は間違っているに違いない。ダクトのサンプルについて仔細に観察すると、確かに優れものである。
 「涼温換気」には用いるところがないのだが、このUnicoシステムが日本に入ってきたとき、センターダクト方式と優劣が競われることになるであろう。
 お客様から、「なんだ、もっといいシステムがあるではないか!」とクレームをいただくことは絶対に避けなければならない。
 だから、約2時間に渡って営業担当役員であるRon Butteryさんと懸命に意見交換をした。

 その結果明らかになったことは、換気において、「涼温換気」の方が断然優れているということである。冷・暖機能に関しては体感しないことには優劣は判らないことだが、説明上ではアメリカ人に好まれそうに感じた。

 外気は決して安心なものではないという前提に立ち、越境大気汚染の影響や、「環八雲」などのことを考えると、室内空気質を確実に改善できる換気システムの選択は必須である。
 工事がしやすく、手っ取り早く冷・暖房ができるということだけではお客様にお勧めするわけにはいかない。
 しかしながら、徹底した比較をしておきたいのでプラン依頼をしてみたところRonさんは快く引き受けてくれた。

 これは、今日社員から入ったメールである。
 <新規のお客様のご案内の前に、体感ハウスを確認に行きました。
涼温換気26℃設定弱運転で、1・2階とも25℃/54%、小屋裏は26℃でした。外部は通り雨があったこともあって一段と蒸し暑かったのですが、玄関を入った瞬間、涼温換気の家独特の涼しさがとても快適でした。
 それだけに、体感ハウスを出た時の蒸し暑さはさらに一段と増して感じられ、内部の快適さを思い知らされました。
 その後、体感されたお客様は、あまりの快適さにすっかり驚かれていたと案内した設計担当が言っていました。>

                          松井 修三

2012年9月15日17時45分

ゼロカーボンハウスの先駆者 Hawkes設計事務所訪問




 はじめてHawkes設計事務所を訪れる人は、みな一様にその想像外のロケーションに驚くに違いない。周囲は見渡す限りの穀倉地帯であり、最寄りの隣家ははるか彼方に数軒だけ点在している。細い木製の電信柱が頼りなげに支えている電線によって、かろうじて文明社会と結ばれているといった風景だからである。

 事務所は、薄く舗装されている一車線の細い道路に面し、平屋で板張りに黒ペンキが塗られていた。裏には昔ながらの小さな穀物工場がある。
 「こんなところで、よく商売ができるものだ!」という感嘆がほとんどの来客の顔に書いてあるそうで、2年前に一人で訪ねてきた荒川さんも例外ではなかったとリチャード・ホークスさんは両手を広げ大笑いして見せた。
 初対面の人の警戒心を一瞬にして吹き飛ばしてしまう、明るさと気さくさにあふれた人だった。

 まずは見て欲しいと道路の反対側に連れて行かれた。
 ホークスさんが指差す方向に、ユニークな姿をした写真の家が小さく見えた。
 「後ほどご案内しますが、3キロ離れている自宅と事務所はそこの小さなアンテナを使って無線ランで結ばれています。
 職住接近はとても大切なことで、妻と二人の子供たちと過ごす時間を少しでも増やすための絶対条件です」。
 このような自己紹介の仕方はかつて接したことがない。急にワクワクしてきた。

 それにしても建物が、いま大きな注目を集めている設計事務所の割りには小さくシンプルすぎていないだろうか。
 3日にわたる旅行の準備と12時間のフライトをし、3時間のドライブの後にやっとたどり着いた訪問者の心中には、最初に抱いたロケーションへの驚きの影響は簡単には消えなかった。

 事務所の内部は15帖ほどの広さで、接客テーブルが一つ、デスクが4台あり男と女の所員さんが黙々と働いていた。
 私の表情を読み取ったらしく、ホークスさんは笑顔で説明した。
 「事務所を立派に構えることも大事だと思いますが、インターネットがあるからには、ここでも十分活躍できます」と、自信にあふれて断言した。

 11時半ごろから2時過ぎまで、マツミの社長と同じマッキントッシュのパソコンを用いて、自宅の建物が理想的なゼロカーボンハウスとして最高の評価を得るに至った経緯について熱の入ったプレゼンテーションをしてくれた。
 いかなる発想と準備と、コーディネートをしたか。

 アイディアをケンブリッジ大学との共同研究で実証実験して構造を固め、間取りの設計にあたっては家族の幸せ、喜び、健康、妻の希望とサプライズに思う存分配慮した。建材の選択は地産地消に徹するのは当然として、職人も地元であることを条件とし、物語性の濃い材料と人手を用いるように努めたそうだ。

 自宅に移動したのが2時半。チャーミングな奥さんは、小学1年の長男を迎えにいかなければならない時間なのに、気持ちよく応対してくれた。

 家の隅々まで、設計上の工夫とアイデイア、そして家族への思いやりと遊び心あふれており、それらに対するアクションを交えた丁寧な解説だけでなく、素材と人手の物語も加えて、ホークスさんの話はエキサイティングに盛り上がり、時の経つのをすっかり忘れてしまったようだった。
 だが私は、定時に食事を取らないと体調が極端に崩れ、不機嫌化してしまう悪い癖がある。それを知っている久保田さんが、みんなに気づかれないようにひと口サイズの干しいもをそっと手渡してくれた。
 おいしかった。しかし、二つ目をほお張った時にホークスさんが急に振り返って質問してきた。私は、口をモグモグさせるばかりで答えられない。
 その様子を見て、久保田さんが笑い出してしまった。

 それでも、3時半を過ぎると私の腹の減り具合は我慢の限界に達しつつあった。
 そこで、話を「新換気」の「逆転の発想」に移した。
 事前に、日本工業大学の小竿先生からいただいていた「新換気による空気質について」の論文を英訳したものを渡していたので、それに基づいての意見を聞いた。
 ホークス事務所は、いまコッツウォルズのFAIRFORD LAKES湖畔に面して60棟ほどのゼロカーボンハウスの分譲プロジェクトに取り組んでいる。その一棟に「新換気」を採用できないか、お互いに検討してみることになった。次回は、社長に来てもらって若い経営者同士で話し合ってもらうことにした。

 「逆転の発想」については、ホークスさんは高く評価していて、これからの高齢化の時代の看護や介護の場における臭いの問題は、建築家が真剣に取り組むべきものだと力説した。
 「センターダクトを横使いにできないか、それを検討してみたい」とホークスさんは目を輝かせた。
 安藤忠雄、隈 研吾の作品をよく知っているというホークスさんが言った。
 「私は大勢のスタッフが関わる大きな仕事もしてきていますが、クライアントと一対一で真剣に向き合う住宅づくりにより生きがいを感じています。住人に心から喜んでもらえる家を造りたい」と。
 ゼロカーボンハウスのモデル棟は数々あっても、ホークスさんのように家族とともに住み心地の実証実験と取り組んでいる人は見当たらない。
 私は、マツミの信条を語り、お互いに「住み心地を究める家造り」が着実に成果を挙げていくことを願い合い、握手を交わした。
 マツミの社長がホークスさんと親交を深め、イギリスと日本での「住み心地のトップランナー」同志が研鑽し合えばさらなる成果を生むに違いない。

 そこに息子さんが帰ってきて、ホークスさんの懐に飛び込んだ。
 「パパはおまえを愛しているよ」
 「ボクもパパを愛しているよ」
 まるで映画の一シーンを見ているかのように感動的な光景だった。

 案内をしてくださった荒川さんが、第67回「思ったこと、感じたこと」に「イギリス最初のゼロカーボンハウス」を書かれている。
 http://www.matsumi.com/cms/mess/103

                          松井 修三

2012年9月15日05時06分

英国建築技術研究所

 昨日(現地13日)、英国建築技術研究所を訪問した。
 低所得者層向けに開発されたという6棟ほどの最先端省エネ住宅のデザインは、極めて無機質的でつまらなく、チャールズ皇太子が見学に来て嘆かれたという心境が納得できた。

 どの建物も玄関に入った瞬間の空気が、「新換気SA-SHEの家」より間違いなく劣っている。よどみ感があり、「新築の臭い」もある。これでは、設計思想や建材類の選択に盛んに用いられているサステナブルやオーガニックという言葉が色あせたものに感じられてしまう。

 各々の感性を大切にするため、久保田さんとは別々の建物を見て歩き、昼食のときに感想を話し合った。
 久保田さんは開口一番、「中にいるのが苦しく感じられる家が数軒ありました」と言った。さらに、「昨夜お邪魔させていただいた荒川さんのお家の方が、はるかに空気が気持ちよかったです」と。
 私も同感したので、荒川さんは困惑顔して言った。
 「松井さんにはセンターシャフト的な発想を取り組み、ロケーションもすばらしい家だとほめられましたが、なんと言っても50年以上昔の建物ですからね。センターシャフトを用いた暖房換気は今では使っていませんので換気はごく自然な窓開け換気なのですよ。私の家の方が最先端住宅よりも空気が気持ちいいなんて、ちょっとおかしな感じがします」
 そこで私はこんな質問をしてみた。

 「ところで荒川さん、いま見てきた住宅の中で、これだけはデザインがまあまあだとチャールズ皇太子が認めたという家(写真)と、ご自宅を等価交換してくれると言われたらどうしますか?」
 「そうですね。まず、断るでしょう。断熱性能では比較にもなりませんが、お二人が言われるように空気の質感が合いませんね。妻も同じようなことを言うと思います」
 空気の質という点で、最先端住宅は50年前に建てられた家にかなわない。これは考えさせられる話だった。イギリスでは、新築住宅の着工数は年間で10万戸以下、中古は2000万戸以上と聞く。よほど換気システムを考えないと、中古住宅の断熱改修は満足が得られにくいのではなかろうか。

 見終わって、事務所で広報担当のグラハム・ハードキャッスルさんと会談した。
 「ここでの収益は、最先端住宅造りの研究開発に使われています。学生も多いですが、世界中から見学者や企業関係の方々が年間2万人近くやってきます。最近ではキャメロン首相もやってきましたよ」
 氏は誇らしげに言われた。

 換気システムに関する話には、要領を得ないことが多かった。
 私の不満顔を察してか、氏は歯医者の家を見せてくれた。そこでは第一種換気装置を用いている。暖房は南側の壁体に設置された太陽光の集熱パネルからの熱、それにヒートポンプエアコンを加えた暖気を(「涼温換気」とは似て非なのものだが)換気装置の手前でミックスして、室内からのリターン空気とともに各室の天井から給気する。そして、汚れた空気は浴室・トイレから排出する。
 肝心な換気の経路は「新換気」とは逆であり、従来のやり方である。
 氏は、「換気回数をいかに増やすかが重要だ」と力説されたが、これでは「新換気の家」で生活している私と久保田さん、そして「窓開け換気」の荒川さんにとっても満足できるものではなかった。

 今日はこれから、いよいよこの旅行の目玉であるリチャード・ホークス設計事務所を訪問する。外は曇りで18度ぐらい。寒そうに見える。
 「逆転の発想」がどのような評価を受けるか、楽しみである。

                          松井 修三

2012年9月2日09時48分

「新換気」が快適な夜


 今日も小平市の天候は大荒れとなり、午後12時半ごろから勉強会の開催が危ぶまれるような豪雨になった。
 幸い始まる30分前には雨は止み、参加者の皆様には「涼温換気」を体感しながら約2時間半を地下室で過ごしていただいた。
 お客様の目の前には、温・湿度計がある。始まるときの温度は設定温度と同じ26度、湿度は51%。終わったときの温度は26.5度、湿度は49%。豪雨の直後の地下室であり、9人の大人が居てのことであるから「涼温換気」のすごさに皆さんが驚かれていた。

 「なんでこんなに気持ちがいいのか不思議でなりません」と首を傾げる夫人がいたので体感ハウスへご案内した。
 どこも26度台の温度、そして湿度は55%前後。さらっとして気持ち良い。夫人は「不思議だわ」と繰り返し感心されていた。
 実は、体感ハウスは2時からエアコンを停止し、「新換気」だけの状態にしていたのだ。それでも、あたかも「涼温換気」の状態であるかのように快適だった。

 「涼温換気」は、「新換気」を前提にしている。つまり「新換気」なくしては成り立たないものである。外の温度・湿度が「新換気」だけでは快適にならない場合、付加したエアコンの力を借りる、それが「涼温換気」なのである。

 23時30分現在、外気温は22.2度・湿度84%。書斎の温度は26.3度で湿度は58%。この夜、わが家も「新換気」だけで快適である。

                          松井 修三

2012年9月1日09時45分

60歳を過ぎたら住みたい家


 織田義郎画伯のカレンダーは、先月のサントリーニ島(ギリシャ)からフランスのボヌヴァル・シュル・アルクの秋色濃い風景へと変わった。

 午前中は相変わらずの猛暑だったが、小平市上空の天候は午後に入ると急変し、ものすごいゲリラ豪雨になった。
 30分ほどで雨が止むと、先ほどまでの猛暑は嘘であったかのように温度が24度に急低下した。まるで、カレンダーの風景に天候が同調したかのように。
 そこに、「涼温換気」の体感を楽しみにしてきたというご夫妻がやって来られた。
 体感ハウスの内部の温度は午前中のままの26度台であったから、外の方が涼しく感じる状況にあった。
 だが、ご夫妻は玄関に入ると「ああ、さらっとして気持ちいいですね」と感心された。
 このとき湿度は、外が80%で内部は55%。25%の湿度差があると、人は温度的には2度前後低く感じる。それが見事に実証されたのである。
 2階へと階段を上る踊り場で、ご夫妻は「自宅ではこのあたりで急に暑くなるのですよ」と交々言われた。そのまま小屋裏へと上っていっても温度に変化を感じなかったようで、「これはすごい家ですね」と、すっかり感動されていた。
 家中をじっくりと体感した後で、3軒目の家を建てることになると前置きされてご主人が、「私たちが60歳を過ぎたら住みたいとイメージしていたとおりの家です」と目を輝かせて言われた。すると奥様が、「この家は一日も早く住まないと損してしまう感じがします」と大きく頷かれた。

                          松井 修三

2012年8月30日09時41分

絶対湿度とサラサラ感

 横浜事務所で半日仕事をした後、体感ハウスで2時間ほど過ごした。
 事務所は「涼温換気」。体感ハウスは「小屋裏エアコン」である。
 玄関を入った時の涼感は同じように思えるのだが、しばらくいると違いが判る。でも、どちらも快適であることは確かだ。
 車を運転し、約1時間をかけて小平に戻った。真っ先に体感ハウスに入る。イメージしたとおり、いや、それ以上にさらさらとして快適だった。家中を体感してから自宅の玄関を開いた。
 涼しいのだが、体感ハウスとはサラサラ感が違う。

 女房が、このところなんだか空気が重い感じがすると言う。
 温度は、27.2度、湿度62.3%。まあまあの状態なのにである。
 そこで絶対湿度を測った。すると13.2グラム。外を測ると温度28.1度、湿度81.3%。絶対湿度は18.2グラムもある。内外の差5グラム。これはすごいと自画自賛したくなるところだが、ここで久保田さんに電話して絶対湿度を測ってもらった。すると温度26.4度、湿度52.6%、絶対湿度11.3グラム、さらさらしてとても快適だとのこと。

 私は、再度体感ハウスに向かった。測定してみると、温度26.2度、湿度51.2%、絶対湿度は11.2グラム。こちらもサラサラ感は申し分がない。

 これですべてガッテンした。

 わが家は、気密性能が悪いのだ。本来第一種換気は、内外の気圧差を生じないように吸気と排気のバランス調整をしてあるのだが、わが家では排気を多目にしている。室内が負圧になっているところに、絶対湿度5グラムの圧力が加わり、全熱交換換気が働いているにもかかわらず、久保田邸や体感ハウスよりも2グラムも絶対湿度が高くなってしまっているのだ。
 その分、サラサラ感が薄れてしまう。外の絶対湿度が15グラム前後の時は、わが家でもサラサラ感を十分満足できる。しかし、18グラムを超えてくるとそうはいかなくなる。
 女房に空気が重いと不満を言われるのは残念だが致し方がない。
 私は、わが家の性能が悪いとは言わずに、ちょっと心苦しく感じたが愛犬のななちゃんが湿気を出すせいだよと説明した。

 ひとたび、「涼温換気」のサラサラ感を味わってしまうと、田舎育ちで、ちょっとやそっとの温度や湿度差などは気にもしなかった人が絶対湿度のわずかな違いをも感じ取るようになる。私はおかしくなって、ななちゃんを抱き上げた。

                          松井 修三

2012年8月30日09時37分

「これはエアコン利用の革命だ!」


 三重県のマルカの近藤社長が、社員4人を連れ立って東京体感ハウスへ来られた。朝4時起きし車で5時間半かかったとのこと。
 今月21日に久保田さんの家を体感して、「これはエアコン利用の革命だ!」と思ったという。そして今日体感を重ねますます実感を深め、エアコンに対する考えを根本から改めることにしたそうだ。
 実は、エアコンが根っから嫌いな私も同じなのだ。
 嫌いだから、換気にエアコンを組み合わせる全館空調的なやり方に対して否定的な考えにならざるを得なかった。
 しかし実証実験をしてわかったことは、素材が料理の仕方によってまるで別物のようにおいしくなるように、エアコンも新換気との組み合わせ方次第で想定外の快適さをもたらすことを発見した。

 私が直感で提案すると、技術担当で一級建築士の石井正夫さんが理論の裏付けをし、社長と工事部が協力してモデルを作成する。それについて私が直感と皮膚感覚で改善を求める。アイディアの連発と強引な実証実験の求めに石井さんが悲鳴を上げる。
 2年近く取り組んでいるうちに、エアコンに対する感情が徐々に変化していたのだが、自宅で試してからは大嫌いが大好きにコロッと変わってしまったのである。
 「涼温換気」は、「エアコン利用の革命」としか言いようがない。

 ところで石井さんの住まいはヘーベルハウスである。リビングでは5キロワットの出力の業務用エアコンを使っているが暑くてたまらないそうだ。
 一日も早く「涼温換気SA‐SHEの家」に建て替えようと話し合っている。

 マルカさん一行には、私の自宅と事務所も体感していただいた。これでマルカさんは、横浜事務所を入れて4軒の「涼温換気の家」を体感したことになる。
 近藤社長はようやく念願が叶って、自宅を「SA‐SHEの家」にリフォームする工事を始められたのだそうだ。
 「松井さんのブログに愛犬のななちゃんがソファーの肘掛けにあごを載せて気持ちよさそうにしている写真がありました。それを家族が見て、うちの愛犬ショコラにも同じ思いをさせてやりたいというんです」と笑われた。
 久保田さんが、シェパードのナディアが涼温換気にしてから外に出たがらなくて困っていると嘆いた。「犬は高温多湿が嫌いなのです」という久保田さんの断言に、「それは人間が言いたいことですよ」と突っ込みが入りみんな大笑いをした。

                          松井 修三

2012年8月24日09時31分

100家族の証言




(上から玄関ホールの温度・湿度。2階北西の部屋、上が外気温、下が室温。3番目の写真、右がエアコンのコントローラで設定温度26度、風量弱、40%節電運転中。左が1階リビングの温度・湿度。4番目の写真、絶対湿度11.7グラムを表示。一番下の写真は、「涼温換気」の本体。上がエアコンで下が第一種全熱交換型換気)

 今日は社員たちが代わる代わる午前と午後に体感ハウスで「涼温換気」を体感した。
 事務所で日々体感しているのとは大分違った感覚に、最初はやや戸惑っていた。やがて、写真のように温・湿度計のデジタル表示を見ただけではわからない「涼温換気」の味に気付く。
 吹き出し口の位置と開口の度合いによって、涼気の流れが変わり涼味が微妙に変化する。
 これを試すのは実に楽しいことだ。単純で、扱いやすく、効果がはっきりとわかるから誰もが納得しやすい。社員たちは、住み心地という住宅の根源的な価値の大切さ、奥行きの深さを改めて思い知ったようだ。

 世田谷区八幡山で建築中のHさんご一家が、久保田さんの家を体感に来られた。みなさんが涼しさに感激されて、ぜひとも「涼温換気」にしてくださいということになった。暑がりの息子さんも、エアコンが嫌いという奥さんも大変満足されていたようだ。

 このところプラン依頼やご契約される方々のほとんどが「涼温換気」を強く希望されるので、実証実験に加わっていただくということで、お引き受けすることにしている。
 100棟を造って、100のご家族が「これはすばらしい」と証言してくださったら本格的に売り出そうと、「いい家」をつくる会のメンバーさんたちと話し合っている。
                          松井 修三

2012年8月23日09時22分

東京体感ハウスも「涼温換気」となる!

 三重県マルカさんの住み心地体感ハウスは、マツミの東京体感ハウスと瓜二つだ。
 後者が昨日夕方から「涼温換気」となった。今日の午前中、微調整をしているところに、すでに実際に生活をしている久保田紀子さんがやってきた。
 以前の「新換気」+「小屋裏エアコン」の状態を熟知している久保田さんは、床下から1階、2階、小屋裏へと体感して「エクセレント!」と感嘆の言葉を連発した。
 設置と調整を担当した工事部の羽田が、「先ほどマルカさんに連絡しました。月曜日に6人のメンバーで体感に来られるそうです」と、うれしそうに報告した。

 今日は暑さも和らぐころとされる二十四節気の「処暑」だが、午後2時の外気温は36度を記録する猛暑になった。
 しかし60坪の体感ハウスの内部は、<設定温度25度/40%の節電モード/風量:弱>でどこも25.5度から27.5度、湿度平均53%、絶対湿度12.3グラムという状態である。

 「このすばらしい涼感を表現する言葉を見つけたい」、「この涼感に対する感じ方を一人でも多くの人から聞いてみたい」、「エアコン嫌いな人にぜひ体感してもらいたい」。三人が三様の願いを言い合った。
 一方、東京事務所は2台の「涼温換気」以外にはエアコンを1台も使っていない。100坪の広さがあって、家族(社員)20人が暮らして快適なのだから感動してしまう。

                          松井 修三

2012年8月22日09時19分

さらに住み心地のいい家を


 昨日、横浜事務所と久保田邸にて「いい家」をつくる会・会員向け「涼温換気の体感会」が行われた。
 参加者は、山口県:寿工務店/香川県:ライフスタイル/岡山県:運船建設/大阪府:美和工務店/木創工房/愛知県:大竹建築/三重県:マルカ/富山県:北新建工/静岡県:加藤住宅/埼玉県:横田建設/大容建設/東京都:黒柳建設。
 総勢28名が猛暑のなか集まり、これで全会員が体感したことになる。
 今回は久保田邸でも体感してもらったのだが、その「涼感」にはみんなが驚きの声を発していた。
 中には、「久保田さんは小屋裏エアコンで十分快適なので涼温換気はしなくてもいいのではと言っていっていたんではなかったですか?」と突っ込みを入れる人がいた。
 「たしかにそうでした。でもこの涼感のすばらしさを知ってしまうと他の方法で暮らすということがイメージできません。ためしに、この家で一晩熟睡してみてください。私の気持ちがよくお分かりになるでしょう」
 久保田さんは、「住む人の幸せを心から願って、さらに住み心地の良い家をと探求し続ける松井さんの情熱には本当に頭が下がります」と笑った。

 次いで、体感ハウスでセミナーを開いた。こちらではエアコン3台と扇風機5台フル運転した。
 エアコンを使うのは同じであっても、吹き出される風を直接体に受けるのと、センターダクトを介して換気の気流に乗せた微風を受けるのとでは、どうしてこうも快適感が違うのだろう。
 小屋裏エアコンとの違いは?
 みんな反芻しつつ納得を深めていた。

 「とにかく自社の体感ハウスに一日も早く設置したい」、「新換気のダクトをそのまま使えるのか?」、「客様からの要望にどう応えたらよいのか?」など、発言が相次いでで約4時間にわたった体感会は大いに盛り上がった。

 今日は、東京住み心地体感ハウスで「涼温換気」への改修工事が行われている。「涼温換気」にするにはセンターダクトの直径が250ミリ必要なのだが、ここは200ミリの普通ダクトである。うまくいくかどうか、楽しみである。

                          松井 修三

2012年8月17日09時03分

犬も喜ぶ家


 夏休みが明けて社員たちが元気に出社してきた。
 みんなが一様に「涼しい!」と感嘆の声を発していた。
 「いい家」をつくる会/新潟県/木下工務店さんが、朝一番で「涼温換気」の体感に来られ、私の自宅と事務所をまわった。木下さんは、それぞれのところで1時間ほどじっくりと体感した後で、「冷えるとか、冷たいという感じが全くなく、涼しい。それも、実に気持ちがいい涼しさですね」と感心しきりであった。
 「SA‐SHEの家」にお住いのお客様から2件の引き合いがあるとのこと。

 夏休みの間に4組の方から涼温換気体感申込みのメールをいただいている。明日は、2組のお客様が体感に来られる。

 久保田さんは、今朝8時過ぎまで熟睡してしまったそうだ。
 夜は玄関の中に入れている犬が、涼温換気にしてから「ハアハア」言わずに静かにしている。「犬も気持ちいいようです」と久保田さんの声が弾んでいた。
 わが家の愛犬ななちゃんも、以前やっていたように玄関の大理石に腹ばいになって「ハアハア」することは全くしなくなった。散歩から帰って10分もすると、涼やかな表情になってソファーの上に寝そべることが多い。

 ところで8月分の電気料だが、20%節電を達成した昨年と比べさらに8%減少した。家中の快適度が50%以上増してのことだけにうれしくなる。
 「涼温換気」は、家計にもありがたい。

                          松井 修三

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