「いい家」をつくる会 会員コラム

2013年5月30日09時00分

建築士定期講習

 昨日、建築士事務所に所属する建築士が3年毎に受講を義務付けられている講習を受講した。
 昼食を含め、7時間半の長時間の講習で、最後の1時間は修了考査となる。
 この制度は、平成20年11月28日に施行されたものである。
 建築士は、設計や工事監理業務に当たり、法的・技術的判断のもと、専門家として高度な社会的義務を負う。職業倫理上の倫理観が強く求められる事となる。
 これはいかなる職業、又は、生き方についても同じであり、日常的に継続して考え、行動していかなければならない。
 社会的使命の大きさを再認識すべきである。
 先の耐震偽装問題以来、建築士の責務を厳しく問い正され、責任を重くし、さらに広い責務を負う法改正となっている。
 この定期講習では、近年、法改正された項目内容を改めて学ぶもので、先の職業倫理から建築基準法改正、そして最新技術及び、最近の重要技術項目など、その範囲は広い。

 近年、国の方も断熱方法では外断熱の良さを前面に出し、表現する様になった事は正当と評価する。
 又、木造建築の耐震項目では、もちろん言葉は出てこないが、総合するとTIP構法はとても理に適っていることも認識した。
 さらにセンターダクト・涼温換気のシステムは最近の重要技術項目に載せたい内容である。
決してオーバートークではない。

 日本はスクラップアンドビルドの時代から良質住宅のストックへ向かっている。
 住まいを、住み心地を良くして、家そのものも健康的に長持ちさせることは
 まさに国策の原点とも言える。

 新技術の項目にセンターダクト涼温換気手法を載せ、もっと広く国民に知って頂きたいと感じつつ、今のテキストを少し残念な思いで眺めていた。

                   平澤建築事務所 平澤 政利

2013年5月26日22時28分

「CDエアコン」とは?

 家庭用エアコンとしては、ルームエアコンと呼ばれる壁掛け形か、天カセと呼ばれる天井埋め込み型が一般的である。
 それらは、エアコンと人とがface to face(面と向かい合う)の関係になるので、常に気流を意識せざるを得ない。温風にしろ冷風にしろ、気流を気持ちよく感じるのはほんの一時でしかない。あとは暑さ・寒さに耐えるよりはましと我慢することになる。
 しかし、センターダクト式は違う。私は「CD(センターダクト)エアコン」とネーミングしたのだが、気流を意識させられることなく、家中が快適になる。
 第一種全熱交換型換気と、1台のダクト用エアコン、そして「センターダクト換気」を組み合わせると三者が相乗効果を発揮し、「エアコンの快適革命」が起こるのだ。
 構成要素が実にシンプル。「エアコンのイノベーション」とも言えよう。
 これまで誰も気づかなかったのが不思議なほど合理的である。

 ここが肝心要なのだが逆転の発想で、換気の経路を従来とは180度変える。給気を家の中心から行い、排気を外周に位置する部屋の天井から行う。この換気の経路に、冷気と暖気を乗せる。
 部屋からエアコンが消え、メンテナンスは1台分で済む。
 空気がとにかく気持ちよくなる。そして涼温房の快適さを一度でも体感した人は、ルームエアコンや天カセは使いたくなくなるだろう。

 「いい家」をつくる会では、今年は200棟、来年は300棟のペースで受注しているが、実績がさらに増えると、「CDエアコン」は家庭用エアコンの別格的存在として注目を集めるに違いない。
 と、今日の勉強会でほぼ満席のお客様に語りかけてみたところ、反応はすこぶる良かった。
                           松井 修三

2013年5月23日23時36分

「センターダクト換気」の偽物にご注意!


 本物には三つの特質がある。
 1.効果がはっきりとわかる。
 2.仕組みがシンプルである。
 3.メンテナンスが容易にできる。

 「センターダクト換気」は、写真のように見るからに単純だ。だから真似したくなる。
 お客様から問い合わせがあると、マツミのホームページを見て、「これならうちでもできる」と考えるのだろう。
 最近、そのようなこすからい輩が目立って増えてきている。中には、兵庫県の(株)ハウジングネットワークのようにイラストをプリントアウトして営業するところもある。
 しかし、みんなばれてしまうのだ。
 仕組みがあまりにもシンプルなためアレンジがしにくいからだ。

 住宅展示場展開を大々的にやっているAホームは、画期的な換気システムを考案したという。それは、ダクトの代わりに90センチ×90センチの石膏ボードで囲ったシャフトによって空気を送るというものだ。
 だれが見ても、直径25センチの「センターダクト換気」の方がはるかに合理的である。

 やってみると分かるだろうが、本物が真価を発揮するにはノウハウが必要だ。設計力と施工力、そしてその家族に合うように調整する経験力、さらにタイムリーで的確なアフターメンテ力。それらの一つでも欠いたのでは、住む人が健康被害を受けかねない。
 偽物販売は、高い代償を伴うと覚悟の上でやることだ。
                           松井 修三

2013年5月22日22時35分

25年後の暮らしを想像することができますか?


 Aさんの家は、コンクリート造の二階建てで、太平洋が一望できる鎌倉海岸沿いの高台にある。
 私と同じ年のAさんは、夏は湿気を伴った生ぬるい海風に、冬は体の芯まで冷える寒さに25年間も悩まされ続けてきたという。
 「もう我慢の限界です。住んだ当初は、主人も私も眺望に惚れこんで眺めを楽しんで暮らせることに感動したものです。しかし、3年も過ぎた頃から、コンクリートの家特有の暑さと寒さは尋常ではないことを思い知らされるようになりました。
 季節の良いときは海を眺めて、自分たちの選択を肯定し元気をもらうのですが、70歳過ぎるともう辛さばかりが重荷に感じられ、毎日が後悔です。
 それに最近では20段近い階段の上り下りをこれからも続けられるのか自信がなくなってきました。平地に買い替えようと不動産業者に相談もしたのですが思ったようにうまくいかないことを知り、そんなときに松井さんの本を読んで、こんな家にぜひとも住んでみたいと思い勉強会に参加したのです。
 なんとか建替えてもらいたいのです」

 私は、Aさんの話を聞きながら「湖の一望という寒さあり」という句を思い浮かべていた。詠み人は忘れたが、住宅雑誌に掲載される眺望に優れた立地に建つコンクリート住宅を見るたびにその句が思い浮かぶのだ。

 問題はアプローチだ。道路と高低差がある場合はガレージと玄関を一体化し、エレベーターで上り下りすればいいのだが、敷地が広いので簡単ではない。
 かなりの予算を必要とする。Aさんに限らず、家を手に入れるのにだれも25年後の暮らしを想像はしない。
 74歳になって、「今決断しないことには、もう心身ともに建て替えには耐えられない」と思いマンション暮らしをしている二人の子供に相談した。
 「マンションで暮らせば・・・」と二人とも口を揃える。
 でもAさんは、「コンクリートの家にはもうこれ以上住みたくはありません」と言う。
 「この年になって、住みたくない家に住み続けなければならないことが、こんなにも辛いとは・・・。毎日主人とため息ばかりついています。いずれは子供たちも同じ思いに悩まされるときが来るのかと思うと、つくづく考えさせられます」。

 私も、50歳の時に25年後を想像した家づくりはできなかった。毎日、「住む楽しみ」を味わっている人がいる半面で、Aさん夫妻のように「住む辛さ」に耐えている人も多いのではなかろうか。
 幸いにも、近くには「いい家」をつくる会のオークランドホームさんがおられるので、ぜひ相談するようお勧めした。

 一昨日、世田谷区野沢でK邸の地鎮祭を行った。
 玉串を奉りながら私は誓った。
 「25年後に、必ず建ててよかったと感謝していただける家を造ります」と。
                           松井 修三

2013年5月19日21時32分

「売れるものがいいものだ」は、正しいのだろうか!


大和ハウスの売上高が2013年3月期決算で2兆円を突破し、営業利益が1280億円と創業以来最高を記録した。
 いまや「売れるものがいいものだ」というトークが説得力を発揮し、消費増税前の駆け込み需要も加わり、大手ハウスメーカーはどこも増収増益で笑いが止まらないようだ。
 こうした状況下でも、「住み心地の良い家」を求めるお客様は確実にいらっしゃる。
 今日の横浜勉強会も、6日の東京に続いて満席だった。出席された方々の心には、「住宅展示場には、とかくいい家はない。あるのは『いい家』と錯覚させる様々な仕掛けと、巧みな営業トークである」という私の言葉に対する共感がある。

 一昨日契約された町田市のIさんの奥さんが言われた。
 「定年退職する主人に、私が長年我慢してきた寒くて暑い家に住んでもらうのは申し訳なくて、いろいろと住宅展示場を見歩いてきました。しかし、これなら建てたいと思う家がなくて困っていた時に本に出合って、家づくりの真実に目覚めさせられたのです。
 本当に、住宅展示場には『いい家』はありませんでした」。

 だが、「いい家」と錯覚する人は後を絶たないどころか増える一方のようだ。錯覚させる側は、右手では「環境配慮型住宅」を売って儲け、左手では「3.11」の被害者のための仮設住宅でも儲ける。その仮設住宅では、床が傾き天井がはがれ、雨漏れが起きて住人が悲鳴を上げている。断熱材も入れない欠陥仕様にして、マスコミに取り上げられるとあわてて断熱工事をする。
 莫大な利益の中には、その仕事の分も積み上げられているという。
 憤りを覚えるのは、私だけだろうか。
                           松井 修三

2013年5月16日23時30分

いまどきの「涼温換気の家」は?


(事務所のすぐ近くにある鈴木街道公園にて)

 一昨日の日中の外気温は30度を超え、テレビ各局は暑さに驚く各地の様子をトップニュースで取り上げていた。
 こんな季節には、体感ハウスはどんな感じなのか?
 昨日の午後2時過ぎに、60代と思われる男性がお一人で体感に来られた。
 ところが、体感ハウスでは朝からシャッターを下ろし、センターダクト換気が動いているだけだった。
 玄関を入ると24度、ヒンヤリした感じ、2階が25度でほとんど同じに感じ、小屋裏に上がると27度で少し暑いかな程度。
 エアコンがついているとばかりに思い込んでいたお客様は、感性が混乱してしまわれた様子で、「エアコンをつけないのになんでこんなに涼しいのか?」と、不機嫌そうに二度もつぶやかれた。
 そこで、エアコンのスイッチを入れた。
 しばらくすると給気口から冷風が出てきた。お客様は手をかざして冷気を確かめたが快適さは分からずじまいで帰って行かれた。
 暑くなく、快適なのにエアコンを使ったのでは不快に感じられても仕方がない。

 昨日は定休日だったので久しぶりに家にいた。
 お客様の案内を終えて戻った時にちょっと暑さが気になったので、エアコンのスイッチを入れた。30分ほどで涼しくなったというよりも気になる暑さが消えてなくなったのでスイッチを切った。
 いまどきは、こんな感じがいい。
 第一種全熱交換型換気を用いるセンターダクト換気の効果で、さらに優れた蓄冷・保冷性能を発揮するようになったSA‐SHEの家では、いまどきのエアコンの利用は味付け程度で済む。薄味醤油をほんの少し垂らすと味が一段と引き立つ料理のように。
 壁掛け式や天井埋め込み式のエアコンは、濃い味の醤油をドボドボと注ぐようなものだ。

 あのお客様は、家に帰って奥さんになんと報告したのだろうか?
                           松井 修三

2013年5月14日08時52分

大阪/美和工務店さんの勉強会


 大阪/美和工務店さんの勉強会に昨日招かれた。
 久保田紀子さんが、冬の寒い日の朝、北側の窓が開く家が多い、その理由は結露対策であると話すのを聞きながら、創業して間もない頃のある情景を思い浮かべた。

 新築祝いの席で、女性の施主さんは大変喜ばれ、大勢のお客様の前で感謝の言葉を述べられた。
 ところが翌日の朝、施主さんから悲鳴に近い電話が入ってきたのだ。
 「松井さん、二階の北側の押し入れの中で水漏れが起きています!」
 私は、何のことやらすぐには呑み込めなかった。
 「そこには水道の配管はないはずですが???」
 こんな間抜けな返答をして飛んで行った。
 二階に上がると、和室の8畳間に濡れた布団が積まれていた。
 押し入れの中を見た瞬間、私は絶句した。
 壁がバケツで水を引っ掛けたかのようにびしょ濡れになっていたのだ。
 「なんだ、これは!」

 前夜遅くまで30人近い人たちが祝宴をしていた。
 当時の家では、窓で結露するのは当たり前と見做されていたが、押し入れの中でかくも激しい結露が生ずるとは、私の経験になかった。
 昨夜、あれほどまでに感謝し褒めてくださった施主さんがすっかりしょげかえってしまわれた。その困惑された表情はいまも忘れることができない。
 私は、ようやく言葉を探り当てた。
 「原因を必ず突き止めて、改善します」と。

 お燗のために石油ストーブの上にのせられたヤカンをはじめ、調理、人体などから出る大量の水蒸気が二階に駆け上り、冷えている北側の押し入れの壁面で結露した。
 この現象は理解できた。しかし、断熱材を丁寧に施工したにもかかわらず、なぜ、結露が生じたのかが謎だった。
 断熱材のメーカーはもちろん、先輩工務店の意見を聞き、学者さんにも教えを乞うた。
 すると壁の中の通気性を確保することが大事だということになったのだが、通気層を断熱材の室内側に設けるか、外側に設けるかで意見が分かれた。両者とも確信が持てないのだ。そこに、ある業者が波型に成形した金網を開発し、これを手前に入れるなら結露は生じなくなると断言した。そこで早速施主さんの了解を得て試すことにした。

 工事は私と大工さんの二人で行ったのだが、金網の鋭い切口が手に突き刺さり、血が噴き出る。軍手が真っ赤になり床の養生シートに滴るほどだった。
 ようやく工事が一段落したところに電気屋が来て言った。
 「これはダメだ。金網が電線に突き刺さったらショートして火事になってしまうぞ!」
 当時は、創業して間もない30代半ばの工務店主よりも、40代、50代の職人の方が貫録があり、言葉に重みがあった。
 私は内心当惑しあせったが、すぐに解決策を提案した。
 「なるほど、それなら安心だな」と電気屋は納得した。

 その後、押入れの結露は発生していない。しかし、当時は知らなかったことだが建築物理的に考えれば、通気層が内・外どちらに設けようともそれだけでは解決にならないのである。50ミリ厚のグラスウール断熱材の断熱性能不足と、余分な水蒸気を排出するための換気不足を改善し、結露が生じる温度差の解消を図らないことには、生活の仕方によっては再発するはずだ。

 事件から17年後、1992年になってマツミハウジングは外断熱工法に取り組み、第三種換気を採用することでようやく結露問題と決別することができた。
 この頃のダイワハウスのテレビコマーシャルを思い出す。
 結露でびしょ濡れの窓ガラス越しに、帰宅するお父さんの歩いてくる姿がぼんやりと映る。娘さんが人差し指で「おかえりなさい」とガラスに書く。
 なんとも暖かみがあって幸せそうな家庭の光景だ。売上高2兆円突破を誇るダイワハウスでも、今から20年ほど前には、なんと結露を美化し、肯定する家を大量に生産販売していたのである。
 いや、ダイワハウスだけでなく積水ハウスもみな同じだった。唯一、エスバイエルだけが金網の代わりに卵のケースにそっくりなものを用いて、構造内部の結露対策としていた。

 久保田さんの話は、ハウスメーカーが盛んにPRしている「風の抜ける家」に及んだ。風には、PM2.5、花粉、土埃、カビ、細菌、湿気などが含まれているのは常識であるが、メーカーはまったく無頓着だ。
 結露さえ売り上げに役立ててしまうのだから、目に見えない大気汚染なぞは風が吹き飛ばしてくれると考えても何ら不思議ではなかろう。
 その家に太陽光発電・蓄電池・HEMSを備えたものを「スマートハウス」といい、これに優る省エネ住宅はないと断言する。
 聞いているうちに、次第に腹の中が煮え立ってきた。私の出番の時までに冷まそうと努力したのだが、お客様方の真剣なまなざしを浴びたとたんに、ハウスメーカーへの憤りが抑えがたいものとなった。
 結露のために、冬の寒い日に窓を開けなければ暮らせず、熱籠りして風抜けに頼らなければ不快になる。そんな家を「環境配慮型住宅」・「スマートハウス」として売るのはまやかしではないか!
 久保田さんの話に深く頷かれていたお客様たちにとって、私の憤りは消化不良になったかもしれない。
 終わって、美和工務店の近藤常務さんが言われた。
 「同じ女性の立場から聞いていると、久保田さんの話はとても分かりやすくて良かったですよ。とくに今日は素晴らしかった」と。
 社長さんは満面の笑みで、「美和さんに頼むことにしました」と力強く言われて帰られたお客様が二組もいたと報告されほっとした。
                           松井 修三

2013年5月11日09時15分

「涼温換気」の「涼」の出番がやってきた!

 昨日は暑かった。
 午後3時過ぎに事務所へ戻ると、工事部、設計部、総務部、経理部に各1人づつがいた。用事があって地下室に直行してみたら壁掛けエアコンが運転されている。
 私は冷房しているとばかり思ったのだが、なんと暖房していたのだ。
 その訳を4月に入社した新人の社員が説明した。
 「4時からお客様が地下に来られるので、少し温めておいた方がよいかと思いまして」
 つまり気を利かせたというわけだ。
 「いま、外は28度。この地下室は24度、暖房する前は22度ぐらいだったはず。これからの季節は、地下室がヒンヤリ感じるのが当り前。そこをお客様に感じていただかなくては」と説明し、一階に上がってまた驚いた。
 玄関ホールの天井埋め込み式エアコンがついている。
 これまた新人さんの配慮だという。
 「なんで涼温換気のエアコンをつけないと?」
 その答えは、もったいないと思ったからだという。
 私は、ゆっくりと話して聞かせた。
 「そうだよね。120坪の広さの事務所にたった4人しかいない状況では、個別エアコンを使った方が省エネであり、効果的だと思うよね。
 それが違うんだよ。個別エアコンではその周りしか効果が得られない。あなたは3台のエアコンをつけたけれど、涼温換気の1台をつけてやれば、事務所の全体に効果が及ぶんだよ。
 今日のような場合、除湿さえできれば暑さを感じないで済むから、涼温換気の効果をお客様に知っていただく絶好のチャンスだよ。
 もったいないのは使わないことだ」。

 中間期にエアコンを使うのに抵抗を覚える人は決して少なくない。
 どうしても「もったいない」と思ってしまうのだ。
 ためしに「涼温換気」のスイッチを入れてみていただきたい。ものの10分もすると、冷風を感じるわけではないのに爽やか感に包まれのがわかる。このような時期は、30分もつけておけば十分だ。
 1台のエアコンで、家中が同時進行で同じ状態になるから、1階・2階、トイレなどどこへ行っても温度差による不快を感じることがない。個別エアコンでは絶対に得られない快適さだ。

 急に寒さがぶり返した日には、暖房のスイッチをポンと押せばいい。
 扱いは極めて簡単。
 こんなにいいものは、どこの住宅展示場を探しても体感できないはずだ。
                           松井 修三

2013年5月2日22時59分

「そんな責任感を抱いたのでは・・・」


(新宿区上落合/K邸の前の坂道にある木製のベンチ。
お年寄りがちょっと腰を下ろして談笑している風情にほっとする)

 「涼温換気」へのグレードアップ依頼が増えてきている。
 今日は2件いただいた。
 16年前に「ソーラーサーキットの家」を建てられた小平市のKさんとお会いするのは久しぶりだった。
 「定年退職しましたので、このあたりでグレードアップに投資して、さらに住み心地をよくしたいと思いましてね。母がいまも元気なのですよ。母はエアコンの冷風が大嫌いなものですから、きっと喜んでくれるでしょう」
 その言葉を聞いて、契約当時を思い出した。
 母に何としても喜んでもらいたい、その一心でKさんはマツミにたどり着かれた。
 当時としては、エアコンにあまり頼らなくても夏を過ごせるという点で「ソーラーサーキットの家」は画期的だったからだ。
 しかしマツミでは、2008年になって、「涼感」にも松竹梅があるとして「松」の涼感を得るには第三種換気とエアコンの組み合わせではうまくいかないという結論に達し、第一種換気による「センターダクト換気」に転換した。
 第三種では、外気の吸入口のために気密性が失われる分だけエアコンが頑張らなければならなくなる。それでは冷風によるストレスは避けられず、良くても「竹」の涼感しか得られない。
 夏は温度だけでなく湿度のコントロールが絶対に必要だ。そのためには、気密性を確保しなければならない。そうしないことには、外気の湿気と勝ち目のない戦いを止めどもなく続けなければならなくなる。
 つまり、第一種全熱交換型換気の選択は必須なのだ。その性能を画期的に発揮できるようにしたのが「センターダクト方式」である。換気の方法によって住み心地が大きく変わることになった。
 情緒的には、通気や自然換気に期待したくなるのだが、「松の涼感」は科学的、合理的に追及しないことには得られない。
 「だったらソーラーサーキットを始めるときに気付きなさいよ」という声が聞こえてくる気がしてならない。
 まことにそのとおりなので心からお詫びしたい。「涼温換気」にたどり着けたのも、「ソーラーサーキットの家」を建ててくださったお客様方のおかげ以外のなにものでもない。
 本当は、費用を全額負担してグレードアップをして差し上げたいのだが、そうしたのでは会社がつぶれてしまう。

 私の話を聞いて、技術者であるKさんは笑顔で言われた。
 「そんな責任感を抱いたのでは、技術の進歩はあり得なくなるでしょう。これからもどんどんイノベーションと取り組んでください」。
                           松井 修三

2013年4月28日23時55分

初版本との出合い


 今日の勉強会に、1999年2月11日に発行した<「いい家」が欲しい。>の初版本を持参された方がいた。
 求めに応じてサインをしつつ、14年前に別れた愛息に出合えたような感動を覚えた。
 手に取ると、書いた当時の意気込みがそのまま思い浮かんできた。
 まやかしの構造・断熱の方法、儲け第一主義の大手ハウスメーカーの姿勢などに対する煮えたぎるばかりの憤りが、執筆の原動力だった。
 勉強会が始まると、その憤りは今も衰えることなく全身からあふれ出し、話はエキサイトする一方となりかけた。
 後ろの席で久保田さんが指揮者のように両手を使って、「もっと抑えて、冷静に」とサインを送ってくれなかったら、お客様の中には不快に感じた方もいらっしゃったと思う。
 でも、5組の方から個別相談を受け、2組の方からプラン依頼をいただいた。
 一組の方は、土地が見つかったら必ずマツミさんにお願いしますと言われて帰られた。また、私と同じ年齢という女性は、「この年で自分だけのための家を建てると言うと、子供たちをはじめいろいろな反対意見が出てきます。しかし、私は誰に何と言われようとも、住み心地の良い家に住んでみたくなったのです。生きているのが楽しくなるような家が欲しいのです」と、目を輝かせて言われた。

 改訂版/新<「いい家」が欲しい。>の第5刷が、第4刷の内容の一部を書き改めて今月30日に発行される。
                           松井 修三

2013年4月27日22時53分

クラシック音楽が流れる現場

 横浜市旭区のI邸のお引き渡しが無事終わった。
 Iさんは、女手一つで「涼温換気の家」を建てられた。
 久保田紀子さんは著書の中で、「一人で家を建てるということには、予想もつかない様々なプレッシャーがあった」と述懐しているが、Iさんも同じように感じた時期があったという。

 「二月に入ると、私は工事中の我家を見て動揺を覚えるようになった。最初の縄張りのときも基礎のときも感じなかったことだが、その頃になると日に日に我家を大きく感じるようになった。どの角度から見ても大きすぎるように思えて、現場に行くたびにプレッシャーを感じ、夢の中でうなされるようになった」。(さらに「いい家」を求めて/111ページより)

 Iさんの場合、大規模な造成工事からスタートしたのだから、心労はさらに大きかったのではなかろうか。
 Iさんは涙を浮かべながら言われた。
 「この家づくりを通じて、息子と私はたくさんのことを学びました。正直に言えば途中不安にもなりました。しかしそのたびに、一心不乱に仕事をしてくださる大工さん職人さんたちの姿と、設計担当の佐藤さんの思いやりのある親切な対応に支えられ、今日を迎えることができたのです。
 マツミさんにお願いして本当によかったと思っています」。

 「涼温換気」にリフォームしたいと、練馬区に8年前に建てられたTさんが体感に来られた。
 当時の思い出で忘れられないことが二つあると、こんな話を聞かせてくださった。
 「一つは、松井さんに対するイメージに関することです。
 工務店主だからねじり鉢巻きをしてタバコを吸っている赤ら顔の人を想像していたのですが、まるっきり違っていました。
 勉強会では最初、ずいぶんうるさいことを言う人だなーと思いましたよ。
 トイレでは、跳ね防止のために水を流しながらせよと言われたのですからね。
 でも考えてみれば、そこまでいう人だから気配りが良くいい仕事をしてくれるだろうとも思いました。

 もう一つは、現場に行くと大工さんがクラシック音楽を流しながら仕事をしていたことです。そんなことを言っては失礼かもしれませんが、通常現場で流されている音楽は演歌かポップス調のものだと思っていましたから。

 8年の間、妻といつも話すのですが、建てて良かったということです。でも、換気だけは思い切って涼温換気に変えてみたい、いや変えるべきだと思ってやってきました」。
Tさんは、明日の勉強会に奥さんを伴って参加されることになった。
                           松井 修三

2013年4月21日22時49分

家に何を求めるのか?


 横浜体感ハウスでの勉強会で4組の方からプラン依頼をいただいた。
中に、こんな方がいらした。
8年ほど前に「いい家が欲しい。」を読んだにもかかわらず、勉強会に参加することもなく他社で建ててしまった。レンガ積みの瀟洒なモデル棟を見て、すっかり気に入ってしまい建てたのだが、住み心地が悪くストレスを抱える日々を過ごしていた。
 そのうち、あちこちから雨漏れが始まりどうにもならなくなって裁判を起こした。4年間にわたって争ってきたがもうすっかり疲れ果ててしまった。かといってこのまま放置しておくわけにもいかず、裁判を取り下げて建替えることを決意した。
 「この経験を通じて、デザインやインテリアがどんなに気に入ったとしても、住み心地が悪かったら何にもならないという真実を、骨身にしみて理解できました」と、その方は話された。

 もう一人の方も、デザイン優先の造り手に依頼しようと考えていて、私の本を読んだという。
 「太い柱をふんだんに使い、南面に大きな窓を設け、日当たりと眺望が申し分ないデザインです。すっかり気に入ってしまったのですが、松井さんの本を読んで冷静になることができました。
住み心地という点から、そのようなデザインの損得を判断でるようになったのです。でも怖いですね。久保田さんですら、本に出合う前は住み心地については何も考えていなかったというのですから」。

 家に何を求めるのか?
 答えが定かでない内は、消費税率が上がるからと家づくりを急ぐべきではない。
 ある方は、それが勉強会で明確化し、確信できたのでプラン依頼に踏み切ることにしたと言われた。
 上記のお三人は、いずれも女性である。
                           松井 修三

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