「いい家」をつくる会 会員コラム

2013年6月26日22時58分

耳触りのよい提案


<「涼温の住まい」自然の気流を生かす>濱口和博、濱口玲子著/発行:彰国社という本を読んだ。
 要約するとこんな内容である。
 電力などの人工エネルギーに頼らなくても快適に暮らせる住宅を造れる。それには、中気密高断熱でつくることだ。適当に隙間がある方がよい。そうすれば、おだやかな涼温空間が得られる。風や日射しを上手に取り込む住まいづくりこそがエコ住宅なのだ。いまはやりの高気密高断熱型住宅はエコ住宅ではない。古人の教えに習い、自然をよく観察して自然から学び、自然と同居する住まいこそ、日本の風土に適した解決策である。

 そうであろうか?
 梅雨があり、秋の長雨があり、高温多湿な夏がある気候特性の下では、いかにして湿気の被害から逃れるかが、住まいの重要テーマであるはずだ。
 解決策は、高気密に造り、外の湿気を家の内部に侵入させないことに尽きる。その上で、適切な機械換気を行い、生活で生ずる余分な湿気を臭いと共に排出するのである。では、臭いやホルムアルデヒドなどの有害物質が除去できればいいということで出てきた提案が「炭1トンの家」である。床下と天井に炭を置く。これが北海道で注目されているそうだ。だが、それは肝心な換気が疎かにされているし、炭の効果がいつまで続くのか疑問だ。

 今日は雨。午後8時、外気温は21度、湿度は95%。絶対湿度14.5グラム。自宅は温度24度、湿度 63%。絶対湿度10.6グラム。CDエアコン・ドライ弱モード運転。
 体感ハウスは、グラフのように床下でも湿度は平均で53%。「涼温換気の家」は、高気密に造られ、かつ第一種全熱交換型の機械換気(センターダクト換気)がしっかり行われているから、梅雨時といえどもすこぶる快適なのである。

 無垢の木と漆喰で建てれば湿気を吸放出してくれると夢物語を語る造り手がいるが、湿気を吸収すると臭いも吸収し、やがては嫌な臭いを放出するようになる。ましてや隙間を容認し、自然換気に頼るとすると、湿気が土埃やPM2.5とともに止めどもなく侵入してきてしまう。
 それでは、自然素材のために快適を我慢し、健康を損なうことになり本末転倒だ。

 高気密は科学であり、高度な技術である。わが国での取り組みは、30年ほど前に始まったばかりであり、古人には考えもつかなかったし、経験もなかった。
 高気密と高断熱は、1+1=2の世界のものであり、住み心地を良くするための絶対条件である。中気密・高断熱を数式化すると0.5+1=1.5となればいいのだが、住み心地という価値では、0×1=0となる。すなわち、中気密であっては、高断熱する意味がなくなってしまう。高気密・高断熱は、車の両輪のようなもので、どちらかが適当でよいというわけにはいかない。

 「自然の気流を流す」、「風の抜ける家」などと言えば、たいへん耳触りが良いが、これほど無責任で非科学的な提案はない。「炭1トン」の方がまだましだ。湿気と臭いの悩みのない健康維持増進に役立つ快適な住まいを造るには、高気密にして機械換気(全体換気のできるもの)を用いるのが最善である。

 湿度、とりわけ絶対湿度を無視しては、住み心地の良い家は造れない。であるとすれば、「中気密」という提案はあり得ない。
 無垢の木や漆喰などの自然素材をふんだんに用いた昔の家が、住み心地という点ではどうであったか、思い出されるといい。住まいは、明確に、住む人の健康の維持増進に役立つものでなければならない。
                           松井 修三

2013年6月23日22時39分

新潟/平沢建築事務所の勉強会

 新潟/平沢建築事務所さんの勉強会に招かれた。
 http://www.hirasawa-arc.com/
 暑いさなか、会場いっぱいに参加者が詰めかけられて、皆さんがとても熱心に話を聞いてくださった。

 会場まで送ってくださったタクシーの運転手さんに、「新潟は暑いんですね」と声を掛けた。
 年配の人のよさそうな運転手さんは、
 「そうなんですよ。新潟というところは、湿度が高くて、そのために住み心地が悪くて体調を崩す人が多いですよ。私のところは、2年前に建て替えたのですが、各部屋に除湿機を置いてます。エアコンだけではとても無理で、かといって、エアコンを使いすぎると返って湿気が重たく感じるようになるものですね。いまどきでは布団乾燥機も使っています。まあ、それもこれも、気持ちよい生活をするためには仕方がないですよ。
 冬になると、寒くてね。夜中にトイレに行くのが億劫でなりません。温度差で倒れる人も多いようですよ」と語った。
 どこで建てたのですかと聞こうとすると、松井さんが車窓からの景色を見ながら、
 「このあたりは空気はきれいそうですし、水もよさそうですし、住みやすそうなところですね」と、質問した。
 「そうなんですよ。湿気と冬の寒さで悩むことさえなければ、山の幸、海と川の幸に恵まれ、米とお酒がおいしいですから、こんなよいところはないんですがね」と、運転手さんは答えた。

 勉強会では、松井さんは「温度差がない家」も大事だか、「湿度差のない家」「快適差のない家」をつくることが大切だ。そのためにはどうしたらよいのか、そこから出てきた答えが「涼温換気の家」であると、熱弁をふるわれた。

 兵庫県ですでに「涼温換気の家」を「いい住まい」さんで建てられたお医者さんが参加されていて、松井さんの話のあとでこんな感想を述べられた。
 http://www.ii-sumai.info/
 「温度差がないというよりも、家中どこにいても空気が気持ちいいんですよ。空気が気持ちいいということは、思っていた以上に素晴らしく、健康にもいいということを実感しています。
 松井さんが本を書いてくださったおかげで、このような家を手に入れることができて本当に毎日感謝しています。
 家づくりにかける熱血漢である平澤社長さんを大好きで、昨夜も夜遅くまでお酒をくみかわしながら家造りに関して熱く語り合いました」

 日頃松井さんは、「いい家」は、「いい縁」をもたらすと言っているが、平澤さんも正にそのとおりですよと満面の笑顔で力強く言われていた。

 新潟県には、木下工務店さん、高橋木工所さんがあり、みなさんが大変熱心に「いい家づくり」に励まれている。いいご縁が、どんどん結ばれますことを切に願いつつ、実際に新潟の土を踏み、空気を吸って、「涼温換気の家」の素晴らしさを再確認した一日であった。

                           久保田紀子

2013年6月12日21時35分

第二回「いい家」をつくる会のセミナー


 本日、今年第2回目の「いい家をつくる会」セミナーが行われた。
 台風3号の影響もなく、みなさんの元気な顔が揃った。
 松井代表が挨拶した。
 大手ハウスメーカーは、環境共生、スマートハウス、ゼロエネルギー住宅をうたい文句に、ただ太陽光発電・蓄電池・HEMSの三種の神器を付加しだけで最高利益をあげているが、会員さんたちはお客様の幸せを願う、住み心地のいい家づくりに地道に励んでいる。近い将来、われわれの家づくりがさらに一段と注目されるようになるであろう。

 今回、CDエアコン(センターダクトエアコン)という新しい呼び名にしたが、これは、お客様の健康維持・増進には欠かせないものであり、私たち『いい家をつくる会』にしかできないものだ。新換気にエアコンを組み合わせたことで、部屋から個別エアコンが消えた。エアコン嫌いのお客様がこれは素晴らしいとほめてくださる。
 病気は、気が滞る状態をいう。であるから、家の中心に近いところから浄化された空気が四六時中供給される家は、気が滞ることがなく健康維持増進に役立つのは間違いない」。

 今回涼温換気についてアンケートしたところ、ほとんどの会員が有望と答え、そのうちの半数以上はお客様からの引き合いが予想以上に活発だとのこと。
 山口県/寿工務店の乙部さんは、このような話をされた。
 「越境大気汚染の影響は、福岡ではかなりあります。当社の体感ハウスは高台にあり、眼下に下関海峡を望む景観が素晴らしいのですが、その景色がかすむようになってきているのです。ですから、越境大気汚染を心配されるお客様からの問い合わせが急増しています。
 当初、わが社の会長は、エアコンに頼らず自然の通気がいいと常に言い張っていたのですが、最近では考えがすっかり変わってきて、これからは涼温換気にしっかり取り組まなければだめだと社員に檄を飛ばすようになりました」。
 会場には同感の声がどよめいた。
                             事務局

2013年6月11日19時59分

見習い

 4月1日のブログ「大工志望の新入社員」で紹介した深澤 樹は、会社での初期研修を終え6月1日より大工見習いとしての現場研修が始まった。まずは6日に厚木市で上棟したO邸が記念すべき第1棟目となった。
 棟梁は60歳になる高橋浩二さん。高橋さんはすでに何人もの見習いを一人前の大工に育て上げてきている。現在も社員大工である林賢司さんを育成中だ。昨年の忘年会の席で親方は言っていた。
 「修行は、つらいものだ。なんべん田舎の母親を思い浮かべては布団の中で泣いたものか」と。だが深澤さんは、疲れも見せず元気に楽しそうに働いていた。

 3年前にマツミハウジングに現場監督として入社した松本有加里は、同級生からこんな話を聞いたという。
 「自分はいま、現場監督として20現場ほどを持たされている。毎日、現場を駆けずり回るだけ。お客様の顔も見えず、何を喜びとしていいのか分からない。しだいにやりがいをなくしつつある」と。

 昨年、マツミに入社した大工志望の円成翼と榎本恭介は、安部棟梁の下で修行中である。世田谷のH・K邸で働いているが、現場を見に行く度に、顔付きや態度が頼もしくなっていく。
 阿部棟梁は、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」という、山本五十六の言葉をモットーにして指導をしているようだ。
 「親方はどう、厳しいか?」と二人に尋ねると、
 「はい、年がら年中しかられています。でも1日も早く親方のようになりたいです」と目を輝かせて答える。

 入ったころはぼうっと直立不動で「大丈夫かな?」とあやぶまれもしたが、今は二人共に前傾姿勢で、まるでスポーツ選手のようだ。つま先に重心がかかり、親方の一声、目の動きひとつすら見逃すまいと真剣そのものだ。なによりもありがたいのは、そんな新米たちをお客様があたたかく見守り応援してくださることだ。

 以前、ブログで紹介したが「職人報われぬ社会に未来はない」という朝日新聞の声覧を思い出す。大工の原田利徳という方が、次のように書いておられた。
 「額に汗をかきながら働く職人が報われなくては、日本の未来はないと思う。(略)
 大手住宅会社の社員は、会社の利益のために職人の手間賃を安く買いたたく。
 職人はどんなに買いたたかれてもほかに仕事がないので請け負う以外にない」。

 先の松本有加里の同級生も同じなのだと思う。買いたたいた側は、創業以来最高の利益を上げ、その一方で大工や職人の心は荒んでいく。
 見習い大工や職人たちの心が燃え、生き生きと喜んで働きたくなる家造りを私は大事にしたい。
                          松井 修三

2013年6月2日21時55分

大阪/大成さんの勉強会


今日は、大阪の大成さんの勉強会に招かれた。
 会場には「建てるぞオーラ」が満ちていて、主催者が感激するほど皆さんが実に熱心に聞いてくださった。
 松井さんが、ご自分の住まいを引き合いにしつつ語った25年前に遡っての住宅進化論は、聞き応えがあった。また、センターダクトエアコンの快適さを語るのに、一組のご夫婦の前で、ご主人の愛が奥さんを包み込むような感じだと例えると、笑いが起こり頷かれる方が多く見られた。
 「サービス付き高齢者向き住宅」や「有料老人ホーム」へ行くことなど考えずに、60歳を過ぎたら、迷わず「いい家」を建て、健康寿命を延ばし、日々住む楽しみを味わい、この家で人生を全うしたいと思うことが何よりだと話を結ぶと会場から大きな拍手が起こった。

 大成さんに長く勤めている女性の社員さんの表情と態度が、以前に増して自信に満ちて明るいのが気になって、専務の西村さんに尋ねてみた。
 なっちゃんと呼ばれているその方は、両親と一緒に住んでいる家を「涼温換気の家」に建て替えたそうだ。まだ住んでから2ヶ月ほどなのだが、毎日住み心地の素晴らしさを実感し、ご両親も「こんな家に住めるなんて夢のようだ」と言って喜んでくれているので、大成の家造りにますます自信を持ち、感謝の気持ちが増して、やることなすことすべてがいい方向に行くようになっているとのこと。
 マツミハウジングでも、専務が建て、いま工事部の相坂が建てている。大工さん、職人さんも建てている。自分が住みたい、両親に住まわせたい。そう心底から願える家だから、自信を持ってお客様にお勧めできるのだ。

 ソーラーサーキットの時代から検討してきているというあるお客様が、今日の話を聞いて、松井さんの家造りの進化が極まったという感じを強く受けたので決断することにしますと言われた。

 確かに、「涼温換気の家」は、システム的な面では極まったと思えるが、松井さんご本人は言っている。
 「目標としている老後を支えてくれる一番確かなものとしての家づくりは、まだまだ道半ばです」と。自らが実証し、それを極めるための旅はこれからが本番を迎えるようだ。
 私は、その手助けを多少なりともできたらうれしいと思っている。
                           久保田 紀子

2013年6月1日11時29分

まだ「涼温換気(CDエアコン)」は使っていません

 今日のブログをご覧になられた神奈川県に住む岸様より、このようなメールを頂戴した。

 マツミハウジングの皆様。

 いつも大変お世話になっております。
 今年は5月中の梅雨入りとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 埼玉県和光市にお住まいの方のブログを拝見いたしました。
 我が家では、昨日扇風機を小屋裏から出して、食事後や部屋の温度が上がる夜間に運転しています。
 また、換気装置の排気量をアップして運転をしています。
 部屋の湿度が排気量をアップさせることで2から3%程度ですが湿度を下げる事ができるようです。
 対流も少し強く感じられるので、涼しく過ごせます。

 「涼温換気(CDエアコン)」はまだ運転していません。
 暑がりの私なので、早く涼温換気を運転したいのですが、今の状態で十分快適なので、運転はもう少し先になりそうです。

2013年6月1日08時29分

「涼温換気の家」の5月の電気量


 昨年の12月に「涼温換気」にリフォームされた埼玉県和光市の織田さんから、毎月、電気使用量のデータと住み心地の感想が送られてくる。
 織田邸には、4.6kwの太陽光発電が搭載されている。

 東電の5月検針が済み、太陽光モニターの方も5月のデータが揃いましたので、買電量及び売電量の生データ一式を提供致します。

 また、検針期間中(4/24から5/26、33日間)の太陽光発電量は、太陽光モニターより795kWhで、余剰電力の売却量は、645kWhでした。

 太陽光発電積算発電量は 6,344kWhで、設置前に頂いた予測値の5,202kWhを遥かに超えた実績を上げています。

 今年の5月分の電力使用量は、太陽光発電により150kWhの電力を自営出来たことが手伝い、同じ契約内容の世帯の平均使用量の半分以下でした。
(東京電力提供の電気使用量グラフより)

 それから、涼温換気の効果についてですが、毎年この時期になると室温が26℃程になってやや不快感を感じるようになるのですが、オール電化契約の時間帯による電気料金単価の違いを利用して、同じ電力使用量でも電気料金が安くなるように、室温が夕刻に26℃を超えた日は、エアコン設定を26℃、節電40%で19時頃から1hから2h程運転し(室温は25℃の中間位まで下がり、エアコンを止めても25℃台が維持されます)、23時以降の深夜時間帯にエアコン設定を25℃、節電40%で2h程運転の2段階運転で、朝起きた時に室温が24℃の中間から後半になるように室温管理をしています。

 涼温換気は、家全体の温度・湿度を均一にしてくれる効果に優れていますので、昨年まではこの時期に得られなかった快適さが得られ、それを維持することが出来ています。

 夏の盛りのエアコン運転は24h運転となるので、エアコン設定温度を昼間の時間帯は27℃、朝晩の時間帯は26℃、深夜の時間帯は25℃と時間帯毎に温度設定を変更し、節電と電気料金の節約の両方を目指そうと考えています。

 オール電化契約の夏期昼間時間帯の今年の電気料金単価は40円/kWh程になるので、ここでも太陽光発電が大いに活躍してくれることになります。
 以上、ご報告まで。

2013年5月31日23時26分

「あなたの、いちばん大切なものは、何ですか。」


 「家造りは、大工で決まる」と言えば、セキスイハイムの声が聞こえてきそうだ。
 「だから、わが社ではすべてを工場生産するのです。大工の腕や、現場の都合で品質が左右されたのではお客様が安心できませんからね」。
 この考えは、大量生産販売の造り手たちが自己を正当化するために真っ先に持ち出すものである。
 今日の日経に、その先鋒を突っ走るセキスイハイムが一面広告を打っている。
 家は、組み立て、据え置き、張り付けて「一丁上がり」を最善とする、と言わんばかりに。
 また、こうも言っているようだ。
 「わが社の家は、部屋ごとのユニットをクレーンで吊り上げて組み立てます。だから仮住まい期間はわずか60日間で済むのです」。

 一方、あまりにも無機質的で字も見にくいのですぐには気付かなかったのだが、積水ハウスも一面広告を打っていた。
 まるで、ブロック塀に細い筆を用い白ペンキで字を書いたようにしか見えないのだ。
 なんとバカげた広告を打つのだろうか?
 そう感じたので、コピーを読んでしまって思ったことは、なんでこんなにも難しい意味不明な文章を良しとするのか、ということだった。
 二行目の「あなたの、いちばん大切なものは、何ですか」という質問は、積水ハウスの経営者に答えてもらいたいものだ。

 <かんたんで、むずかしい質問があります。
 あなたの、いちばん大切なものは、何ですか。

 やはり、家族。あるいは、健康。あるいは・・・
 そのむずかしさは、人生のむずかしさに似ている。

 守るべきものがあり、楽しみも安らぎも求めて、
 ひとことではいえない、私たちの人生の日々があって。

 家は、答そのもの、ではありません。
 けれど、答をよく知っている、家でありたいと思う。

 いつでも、どんなときもと、いえる家であるために。
 ダインコンクリートの家、イズ・ロイエ。>
                           松井 修三

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