「いい家」をつくる会 会員コラム

2014年1月24日09時00分

それは美しいか

 美しいもの。

 それはデザイン性に優れている、トータルバランスが良い、全体のカラーリングセンスが上質等々、限りなく上げられると思う。
 又、人によってその感じ方も大きく変わるものでもあります。

 建築で言えば外観が美しいとか、センスが良いとか、材料の使い方が美しいなどもある。
 空間的にバランスの良さも美しさを感じる。

 個別デザインのパーツの美しさもあり、その個と個のつながりの良さによる上質デザインも美しさを感じる。

 さらには歴史的な建物は美しい。
 美について話し始めたらきりが無い程広がる。 

 見渡すと、高い性能を持つ工業製品もやはり美しい。
 性能は美しさへと繋がって行くのではないかと考える。

 スポーツカーで例えれば、エンジンや足廻り、スピードを追求する。
 当然空気抵抗を少なくする事が不可欠となる。
 そのため流線形のカタチとなり、結果的に美しさの表現となる。

 性能の優れたものは美しいカタチになる。

 先日の個別集中勉強会の冒頭、松井会長は、換気計画は「値がクリアーされているから良し」と考えるな、つまり、その計画図が美しいのかをしっかり見つめよ。と話された。

 まさにその通りである。
 美しい涼温換気の家は、他の追随を許さない住み心地の家となる。

                   平澤建築事務所 平澤 政利

2014年1月17日09時44分

本の精神


 先日の工程会議では、改めて涼温換気の統一事項などの話をした。
 理論とメカニックの家づくりにおいては、繰り返しの学びが不可欠である。

 近年あちこちで見かける「もどき住宅」には心が痛む。
 単なる営業トークに乗せられて契約をし、そして着工される。
 危険な外断熱住宅は、住み心地に大きな欠陥が生じるだけでなく、何より建物の耐久年数が少なくなることを知らされずに工事が進んでゆく。
 同業として見れば、これは一つの犯罪とさえ言える家づくりである。

 正しい家づくりのために、この改訂版「新『いい家』が欲しい。」を一人でも多くの人に読んでもらうことを、皆の協力を求め、その本の精神を今一度繰り返し共有した。

 工程会議等により工事管理をきっちりすることは、品質の向上のみならず、工事がスムーズに流れ、全ての人達にとってプラスに働く。

 全体工程と個別工程、そして工事のボリュームとその体制のバランスを調整する。
 工程とは生き物であり、日々目配りする必要がある。

 チーム平澤の一体感は本当に私の支えとなっている。
 感謝申し上げます。

                   平澤建築事務所 平澤 政利

2014年1月14日09時42分

同じタイトル

 「奥様が美しくなる家」という言葉を昨年6月27日のブログに書いた。

 この現象について、時々、何気なく話が出ていた。
 例えば
 「先日、〇◯様の奥様にお逢いした。すごく美しく(素敵に)なったよ。」など。
 確かに喘息や気管支が弱い方、更に臭いに敏感な方などから特に喜んで頂いている。

 家とは、住む人に満足をくれる器でもある。
 だから使い勝手のいい家。
 美しいデザインの家。
 自然素材をふんだんに使っている家。
 先進のスマートハウスの家、等々、求められる事は当然の事です。

 涼温な家とは、建物の質を本質的に大切に求め続け、それをつくる家です。
 ローコスト住宅とはコンセプトが大きく違っている。
 しかしながら、
 大切なお金は押さえつつも、生きた建築費でなければならない。
 という考え方を、私は不可欠と考えている。

 それは大変な経営努力と理念が必要な事です。
 「住み心地を追及する。」事は、住む人にとって、とてもとても、大きな事であり、完成して住むにあたり、最も大きく感じる事になるはずです。
 先の列記した内容は家づくりを選択しようとする時に、前面に出て来る項目だったと、後で気付くのではないでしょうか。

 「涼温な家」は奥様を美しくする。

 つまり、涼温な家は「奥様が美しくなる家」である。
 と私は定義したい。
 この言葉を大事にしたいと思い、「SA-SHEの家」のお客様でもある国際特許事務所のM所長様にご相談をして、商標登録を取得しました。
 調査から入りまして約半年がかりの事でした。

 『奥様が美しくなる家』

 住宅の設計と住宅の維持管理の2項目について取得です。
 今日は、その事についての報告でした。

                   平澤建築事務所 平澤 政利

2014年1月4日09時38分

住み方追求

 涼温換気の家は、確かに冬はどこへ行っても、まろやかな心地良さを感じる。
 臭いと淀みを感じない家は本当に気持ちいい。

 常に住む人の立場から家づくりを進める、「いい家」が欲しい。の本の精神は、追求への道のりでもあると考えております。
 よって、多面的に見て、改善を見い出し、総合的に判断をし、その小さな事や、もっとこうありたいという事を、積極的に改善へと取り組む。

 ランニングコストを抑えつつも、住み心地を確立させるとは、住宅業界のみならず、地球レベルから見ても大きなテーマである。

 新潟の1工務店の、体感ハウスでの追求は、些細な事かもしれないが、寒い今、1日1日を大事にシュミレーションをし、データ分析をし、実験をしております。
 その内容が必ずや、今住んでいらっしゃる皆様方にお役に立てる事になると信じて、日々の追求を行っております。

 ワクワクしながら。

                   平澤建築事務所 平澤 政利

2014年1月1日23時16分

あけましておめでとうございます


        あけましておめでとうございます。
        今年もよろしくお願いいたします。
       「いい家」をつくる会代表 松井修三


 <「いい家」が欲しい。>のキャッチコピーが変わった。
 「家づくりの真実を問う」から「エアコンの風が嫌い、寒がり、暑がり、臭いに敏感な人のために」と。
 私は、かねてより「いい家」とは、「エアコンの風でストレスを受けない家」と考えていた。2012年11月30日に「暖かさにも松竹梅がある」という題でこんなことを書いた。

 <今日の日経夕刊「こころの健康学」は、国立精神・神経医療研究センターの大野 裕先生が担当されている。
 そのエッセーの中に興味を惹かれたところがあった。
 「不安を感じる強さは人それぞれで、ある程度は生まれつき決まっているそうだ。米ハーバード大学のケイガン博士の研究では、生まれつき不安が強いタイプが全体の3分の1程度いた。
 それは、生まれたばかりの子供の顔に扇風機で風を吹きかけたり、耳元で手をたたいて音を立てたりすると分かる。不安の強い子供は、それだけで大きく泣き出す。残りの3分の2は、そんなことは気にならないようであまり反応しない」。

 私は、「生まれつき不安が強いタイプ」に属しているようだ。顔に風を吹きかけられただけで大きく泣き出したに違いない。母親が、「腺病質な子」だとよく嘆いていたのを覚えている。
 60歳を過ぎても、扇風機の風やエアコンの気流が嫌いなのは相変わらずで、「涼温換気」にたどりつけたのはそのお蔭なのである。仏壇に手を合わせて、母にそう語りかけてみた。(略)>

 「暖かさにも松竹梅がある」というのは、電気式蓄熱暖房機、床暖房、エアコンの三つを比較した場合、かつてはエアコン暖房は最下位のものでしかないと感じていたが、全熱交換型センターダクト式換気(特許)に、ダクト用エアコン(AFP=通年エネルギー消費効率/約4倍)を組み合わせたところ、その快適さは「松」以上に向上したのだ。
 「エアコン1台で心地よい家を造る方法」西郷徹也監修(エクスナレッジ社)とか、「エコハウスのウソ」前 真之著(日経BP)などを読んで分かることは、著者たちはエアコンの解説には優れていても、住み心地の質を向上させる方法が分かっていないということだ。
 専門家たちですら分かっていないのだから、住宅展示場を訪れる人たちが分かるわけがない。それではあまりにもお気の毒である。そう考えて、本のキャッチコピーを変えてみた。
 ひとりでも多くの人が気付いて、本を読んでくださることを願っている。

 昨年の暮れに次作「涼温な家」を脱稿した。正月休みに推敲を重ね、4月には発売したい。実際に住んで、日々「いいなー、いいなー」と感じている者だからこそ書けたのだと思う。

2013年12月31日23時08分

期待どおりの「涼温換気の家」

 自宅に「センターダクト換気」を設置したのは2011年11月だった。12月には小屋裏に設置してあったルームエアコンを断熱材で囲って、第一種換気装置から吹き出される浄化された空気と混合し、センターダクトに吹き込む実験を開始した。
 この発想は、他社が先行してすでに行っており、各部屋へ小型モーターを使って送風するというものだ。5か所に送るには5個のモーターと5本のダクトを必要とする。マツミでは、1個の送風機と1本のダクトで済むので、空気力学や熱の移動に詳しいスタッフの鼻は高かった。
 しかし、私の感性が納得しなかった。
 そんなとき、日経夕刊に紹介されたハードロック工業社長の若林克彦さん(1933年生まれ)は、「世の中の商品は、すべて未完成だとみなせ!すべてのものは、組合せで成り立つ」と述べられていた。
 (ハードロックというのは、絶対に緩まないナットである。新幹線の安全は、このナットによって守られているとも言われている。)
 私は、ルームエアコンとの組み合わせに無理を感じたのだ。アメリカのニューオーリンズの住宅で見たダクト用エアコンに着目していた。さんざん苦労してミキシング装置を開発した技術者たちは、成功の喜びに浸っている暇がなかった。
 そこで、ダイキンが販売しているダクト用エアコンとの組み合わせを試すことになった。本当の苦労はここから始まった。ミキシングチャンパーの効率化と小型化への挑戦である。
 「これでどうだ!」というものがわが家に設置され、運転を開始したのは2012年7月13日だった。欲しかった「涼感」が見事に得られた。同時進行で横浜長津田の実験棟でも実証された。「いい家」をつくる会の会員に、まっさきに体感してもらい絶賛を受けた。冬が来るのが待ち遠しかった。
 外気温がマイナス5.5度に下がった朝、前日から70%節電(3.5kw10帖用程度の出力)でつけっ放しにしていたわが家は、夏用のパジャマでどこにいても寒さを感じなかった。私は書斎で朝刊を読み終わって確信した。
 「これなら、お客様に喜んでいただける」と。
 エアコンの風を意識しないで、「冷暖」ではなく「涼温」感に満足できる家の誕生であった。

 この暮れに「涼温換気の家」にお住いの55棟のお客様方に電話で住み心地をお尋ねした。1棟のお客様を除いてみなさんが「期待どおり」の温かさに満足していると答えてくださった。19棟の方は「期待以上」と喜んでくださっていた。ご不満と応えられた方の家にすぐに担当者が出向いたところ、エアコンの操作を勘違いされており、昨日は「温かくなった」と喜んでくださった。
 全国では、すでに200棟近い「涼温換気の家」が建てられている。来年は300棟が建つ予定である。もし、期待した温かさが得られないとしたら、エアコンの不都合かダクティングに問題があるからで、それらは必ず改善できる。

 今年も、社員・大工さん・職人さんそして関係業者の方々が実によく努力してくれた。来年も、お客様に喜んでいただけるよう、「ハードロック」のような固い絆をより大切にしてみんなでがんばろう!

 本年もつたない文章にお付き合いいただき、感謝しています。
 どうぞ、良いお年をお迎えください。
                       松井 修三

2013年12月28日23時30分

大工さんたちとの忘年会


 恒例の大工さんたちへの感謝の忘年会が開かれた。
 思い出せば、今年の夏は記録的な猛暑日が続いたが、だれも熱中症になることもなく、事故もせず、ケガもなくみんな本当によく働いてくれた。
 感謝してもしきれない思いで楽しいひと時を過ごさせてもらった。
 ありがたいことは、今年もお引き渡しをしたお客様方から感謝のお言葉を数々いただいたことだ。うれしいことは、昨年加わった新人が、みんな元気な顔を見せてくれたことだ。とくに社員大工として加わった写真右側の榎本孝之、左側の円成 翼、そして隣にいる今年4月に入社した深沢 樹の奮闘はすばらしかった。
 マツミの大工さんたちは、ベテラン、中堅、若手と理想的な年齢構成になっている。とくに近年、みんなの活躍は目覚ましいものがある。
 これは、昨年に久保田紀子さんがまとめてくれた文章の一部である。


 <今日は、恒例の大工さんたちへの感謝の忘年会が開かれた。
 新入りのお弟子さんが6人紹介された後で、来年還暦を迎える棟梁の高橋浩二さんが若いものに伝えたいと話した。

 私が、15歳で一人上京するときに、母が私に贈ってくれた言葉がある。
 「若いときの苦労は買ってでもしろ」
 これは今でも大切にしている言葉だ。
 修行というのは厳しく、つらく、ときには哀しいものだ。
 ああ、いやだなー、たいへんだなーと思えばさらにつらくなる。 
 そもそも、仕事は厳しく、つらいものなのだ。
 仕事が楽しいなんて言っているうちは本物じゃぁない。
 こんなことを言うやつは、たいがいものにはならない。
 わたしが45年やってきて言いたいことは、「仕事をなめるな」ということに尽きる。

 若い人に掃除をさせるとね、居候のやりかたなんだな。
 四角い部屋を丸く掃く。
 隅から掃けば、きれいになるでしょ。
 私が修行を始めたときは、半年から一年は、箒と塵取りしか持たせてもらえなかった。
 掃除がいかにだいじか、身にしみこむまでやらされた。
 親方は「現場が汚いということは、仕事も心も汚いと語っているようなものだ」と、いつも言っていた。
 お客様が現場に来られたとき、汚ければがっかりされるはずでしょ。
 自分の現場に対する気持ちを掃除で表わす。それが大事なんだ。
 すべての基本は、掃除。

 会場から大きな拍手が巻き起こった。

 松井さんは、こんな話をされた。
 <松井秀樹選手は高校時代に、父から贈られた言葉「努力できることが、才能である」を大切にして、ひたすら練習に励んできたという。
 私は、「がまんできることが、才能である」という言葉を皆さんに贈りたい。
 高橋棟梁が言うように、「修行というのは、厳しく、つらく、ときには哀しいもの」なのだよ。それは我慢という才能を発揮しさえすれば必ず乗り越えられます。しかし、これに優る才能はないのに、人間はついつい自分にはもっと違った才能があるとうぬぼれやすい。すると、不平や不満が湧いてきてやめてしまう。
 繰り返すが、がまんに優る才能はないのだよ。このことを5年間信じ続けてごらんなさい。間違いなく、大工になって本当によかったという世界が開かれます。

 1年目が無事過ぎた。榎本、円成、深沢よ、あと4年、がんばれ!必ず見事な花が咲く。

                       松井 修三

2013年12月25日22時00分

寒がりな愛犬たちのために



 ドックファッションデザイナーであるGさんご一家が、「涼温換気の家」を建てられることになった。
 店の名前は、「PIM・LICO(ピム・リコ)」といい、ロゴの下には「picky mania limitation」とあった。私の英語力で瞬間的に理解したのは、「特別にこだわりのある人限定」であった。pickyを辞書でひくと「気難しい、きちょうめんな」と出る。つまり一般的には「うるさ型」として敬遠されるようなお客様はウエルカムですと言っているのだ。
 すごい意気込みであり、自信である。
 「よそへ行かれても、うちほど親切丁寧に思いやりがあって、なおかつファッショナブルな洋服は見つからないでしょう」と商売されているのだ。
 マツミでは、「なおかつ」の後にこう加えるだろう。「冬暖かく、夏涼しく、空気が気持ちいい」と。そこを気に入っていただいて、寒がりで暑がりなワンちゃんたちのために「涼温換気の家」を選んでくださったのである。

 いつものように連れて来られた4匹の犬は、車の中でおとなしく待っていた。今日は晴れて契約の日なので、帰り際に記念写真を撮るために外に出てもらった。ドッグレース用にとイギリスで生まれ育った2匹の「ウイペット」は、駐車場の中で見事な走りっぷりを披露してくれた。Gさんにだっこされていた臆病とされている小型犬の「トイマン」は、両手を差し伸べる私の懐に飛び込んできた。
 写真の「フレンチブルドック」は、顔のとおりおどけたひょうきんさで一番の人気だった。

 Gさんが、マツミに決めた動機は、90歳になられる母親の一言だったそうだ。
 依頼先をどこにしたらよいかさんざん迷っていたある日、おばあちゃんが朝日新聞の天声人語の下に出ていた広告を目にされ、「この本を読んでごらん」と勧められたとのこと。住宅の本は、いろいろ広告されているのに「『いい家』が欲しい。」を勧めてくださった選択眼に感謝し、ご期待に精一杯お応えしたいと思った。
 http://pimliko.co.jp/SHOP/33502i.html

                       松井 修三

2013年12月22日23時00分

魔法の手


 昨日、神奈川県秦野市のE邸の上棟式が行われた。

 18日夜7時少し前に、社長から「明日は予定通り行います」と電話が入った。その直前のNHKテレビの予報では、明日は雪になるとのことだった。その時間に決意を伝えてきたということは、天気予報を見つつ決行するか延期にするか、さぞかし迷ったのだと想像できた。
 しかし、雨でも危険率は高まるのに雪では絶対に止めるべきだ。ましてや130坪もの広さの家であり、レッカー車を2台使う予定が1台となったという事情もある。
 私は、即座に延期した方がいいと言った。
 約5分後に社長から再び電話があった。
 「延期すると年内はレッカーを取ることが不可能です。トビさん、棟梁をはじめ大工さんたちみんな意気軒昂ですし、雪の心配はなさそうです」とのこと。
 そんなはずはない、いまNHKニュースで、雪が降る確率は極めて高いと言っているではないか。「延期だ」、と言いかけて思い止まった。
 「社長の判断に任せる。何が起きても責任は私が取るからがんばってくれ」と、考えを変えた。
 その後から、心中には後悔の念が湧き起った。
 例え、年を越しても安全を最優先すべきだったとの思いに攻め続けられ、そのたびに「どうか、みんなの無事をよろしくお願いします」とご先祖様に手を合わせた。
 この日の作業は、無事に予定以上に進んだ。

 翌20日金曜日の朝6時の空模様は、予想した以上に明るく大丈夫そうだったが、午前10時の練馬区石神井町のE邸のお引き渡しに向かう頃には雨が降り始めた。寒さは厳しい。低気圧が北から南下しているという。秦野までは40キロほどの距離なので1時間後には降り始めるに違いない。午前11時頃では中止することは難しいだろう。私は、現場で陣頭指揮をしている社長の心中を察し、気持ちが重くなった。

 お引き渡しが終わって、ご主人が言われた。
 「工事をしてくださった大工さん、職人さんもそうでしたが、マツミさんの社員さんたちの人間力のすばらしさに終始感動させられました」。
 私の気持ちはそのお言葉で一瞬にして晴れ晴れとした。
 「そうだ。これは人間力の勝負だ。彼らは、必ず無事やり遂げてくれるに違いない」。

 この日も期待に反して天候は不順であり、天気予報では、雷、突風の恐れがあるという。気をもみながら報告を待った。
 6時近くになって社長から電話が入った。
 「先ほど無事、棟が上がりました」と。
 「えっ、棟が上がった?」私は驚きの声を発した。明日上げる予定だったはずではないか。
 「ええ、みんなよく頑張ってくれました」
 社長は、淡々として報告した。

 そして昨日、上棟式が行われた。すでに、屋根の下地板が張られ、断熱材も張り終わっていた。
 Eさんご一家は、隣接する自宅から作業を見守られていたそうだ。
 奥さんが言われた。
 「昨日は途中で雹が降り、天候がどうなるのかとても心配でしたが、社長さんはじめみなさんが魔法の手を持っているかのように本当に見事な働きをしてくださいました。
 私は社長さんを見直しました。雨の中、陣頭指揮を取られて実に頼もしかったです。この社長さんなら、会長さんは安心して仕事を任せられますね」と。

 「魔法の手」とは、いつもユーモアとウイットに富んでいる奥さんらしい表現だった。
 私は、安部友郎棟梁と握手して言った。
 「本当によくやってくれた。これが魔法の手だね」と。
 すると、傍らにいた弟子の榎本と円成がにっこり微笑んで大きく頷いた。
                       松井 修三

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