「いい家」をつくる会 会員コラム

2016年5月29日22時26分

「熊本地震」に学ぶべきこと


 「日経ホームビルダー」は、6月号で「熊本大地震」を特報し、住宅の被害棟数が7万棟を超え、2000年の「新耐震基準」以降に建てられた家でも被害が目立つことをセンセーショナルに伝えている。
 現場検証をした専門家の意見の中に、「筋かいの粘りのなさ」を指摘するものが多いという。
 記事は、「益城町で見られた2000年基準の住宅の被害で顕著だったのは、筋かいの破壊だ」と指摘して、筋かいが中間で破壊していたり、壊れて端部金物から抜け出していたりする家が目立ったようだ。
 この事実に関する工学院大学名誉教授の宮澤健二さんはこう述べている。

 「接合部が粘るより先に、筋かい材が破壊するのは危ない壊れ方だ。筋かい材の品質確保と柱頭柱脚の引き抜きの設計方法を含め、靭性確保の方法の検討が必要だ」。

 この意見に、私は歯がゆいものを感じてならなかった。というのは、マツミハウジングが1993年から標準仕様にしているTIP構法(外周の壁の下地板を斜め45度に張り、筋かいの端部に15ミリのクリアランスを設け、三角形のガセットプレートで接合する)は、筋かいの靭性(粘り強さ)を発揮するところに特色がある。

 開発者である東京工芸大学の名誉教授で、日本TIP建築協会の会長の上西秀夫さんは、30年以上前から筋かいが大地震のときに生じる圧縮と引っ張りの二つの力が諸刃の剣となると警鐘を鳴らし、その解決策として「TIP構法」を提唱されていた。その耐震強度は、各種の実験で確認されているが阪神・淡路大震災で見事に実証された。

 上西さんは、その著「強い住まいをどうつくる」(創英社・三省堂書店)をこう結んでいる。

 「想定外の外力」に負けないために、「想定外の耐力」を持つ構法で、ご家族の生命とご一家の財産をお守りください」。
 自然災害は、想定外の外力によって想定外の被害と悲劇をもたらすものだ。近い将来には東南海地震が起こるとされていることを思えば、家づくりに携わる者はこの言葉を真摯に受け止め対策を実践しなくてはならない。
                    松井 修三


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