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「いい家」をつくる会
コラム

2013111622時41分

1台のエアコンで「涼温房」を実現するには?

     (涼温換気の家にお住いのH夫人の作品)


シンガポール建国の父と言われる元首相のリー・クアンユーさんは、東南アジア諸国にとって今世紀最大の発明はエアコンであると言われたそうだ。

わが国でも、いまやエアコンなしの暮らしは想像できないほどに普及している。

新築された小さめの建売住宅でも、家の周囲にはたいがい3台の屋外機が置かれているし、大手ハウスメーカーが建てた50坪ぐらいの広さの家では7台ぐらいあることもある。実は、グラスウール充填断熱材の時代に建てた自宅には8台あった。


快適さを求めて設置するのだが、エアコンは直接対面すると、吹き出される冷暖の風を不快に感じるものだ。そこで「冷暖」ではなく、「涼温」に感じるようにする方法について家づくりに携わる人は、一度は考えたことがあるのではなかろうか。


私は、気流に過敏で、窓から入ってくる風を意識すると、子供の頃からもそうだったが昼寝ができなくなってしまうのだ。

臭いにも敏感、暑さ・寒さ・湿気に弱く、いわゆる「神経質者」の典型である。エアコンの風は大の苦手で、レストランに入ると風に当たらない場所を見つけるのに苦労する。エアコンの風を和らげるアタッチメントはいろいろ売られているが、自宅ではどれを試しても快適さが得られなかった。


そこでたどり着いたのが、センターダクトエアコンの発想であった。「なーんだ、こんなに簡単なものなのか」と思われるに違いないが、実際に体験してみると、その快適さに驚かれるだろう。

現在までのところ、世界で「涼温換気の家」を造ったのは「いい家」をつくる会の会員工務店30社だけであり、昨年の9月から造り始めて累計で300棟を越えつつある。来年は500棟が目標である。

これまでにお引き渡したお客様の感想をアンケートしてみたところ、快適さについて「感動・感激」という答えが圧倒的多数であった。「まあまあ」と答えた3社は、アフターフォローによって、近々ご満足という答えが得られると確信している。

この家づくりは、東北以南の温暖地には最適であるが、日照時間の少ない寒冷地では補助暖房と組み合わせるのがベターだ。しかし、太平洋側では、四季を通じて最高の住み心地となる。


エアコンと直接対面して暮らす時代は終わったと思う。しかし、エアコンメーカーにすれば当惑を隠せない。このような家が「スマートハウス」のように主流になると売り上げが減ってしまうだろうし、下手に肩入れすると大得意先である大手ハウスメーカーの家づくりを批判することにもなりかねない。だから、静観しているだけで積極的に関わろうとしない。


しかし、全国を見渡すと真似する工務店がポツポツ現れてきていて、似て非なるものなのだが、いいこと尽くしの営業トークを用いていているようだ。


会員の中には悪影響を心配し、特許工法であることをPRすべきだとする声もあるが、私は無視している。良いものだから真似したくなるのだし、何よりも、そう簡単にはお客様から「感動・感激」という評価は得られるものではない。

住み心地の向上を心から願って造るのと、儲けを増やす手立てとして利用するのとでは、たとえよく似ているとしても結果は必ず違ったものになるはずだ。


センターダクトエアコンに限らず、一台のエアコンで済まそうとすれば、仕切りのないホール型の間取りにするか、ダクトを用いるかのいずれかになる。後者の場合、システムとしてどんなに優れていて、著名な学者が褒め称え、国が研究開発費を補助してくれたとしても、ダクティングが不合理で未熟では効果を発揮しないはずである。

ダクティングは、原始的な空気運搬方法ではあるが、効率を良くするには理論とともに、いや、それ以上に大切なのは合理性を追求する施工力である。


「1台のエアコンで冷暖房」と唱えてはいても、このことに気付いている造り手は極めて少ない。

これは一朝一夕にはマスターできないのだ。大量生産販売には、まったく不向きである。したがって、大手ハウスメーカーはやらない。年間50棟以上造るメーカーが軽い考えで手掛けると、いずれクレームの山を築くに違いない。

「思ったほど暖かくない、涼しくない」というクレームに対処するのには、科学的な知識と風量測定の技術、改善方法についての経験が絶対に必要である。

「いい家」をつくる会には、そのノウハウがすでに300近く積み重ねられている。千を超えるのは時間の問題だ。


11月29日に、今年「いい家」をつくる会では3回目のセミナーを開くのだが、その前後二日間を使って勉強会を行う。

今の時代、住宅業界にはウソが多すぎている。換気を疎かにし、住み心地の悪い家を造って、太陽光発電を載せれば「いい家」になると言うとしたらウソになる。良心に恥じない家造りを望む造り手にとって、「涼温換気」の勉強は必須である。


松井 修三

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