ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

201410115時55分

イギリスのゼロカーボンハウス

今日はまばゆいばかりの陽光の下、2か所の「ゼロカーボンハウス」を訪問してみた。

Paddington駅から急行で20分のSlough駅でタクシーに乗った。ホンダ車だったが運転手さんは「私はホンダを信じている。絶対に壊れないからね」と自慢していた。

走ること10分ほどで、「Green watt Way」と称したゼロカーボンハウス建築場所に到着した。

ここは、2010年の秋にイギリスのガス電力大手会社と政府や建築研究団体が10棟の実験棟を建て、2年間のモニタリングを条件に賃貸したという。

現在は、モニタリングは終了し、不動産会社が買い取って賃貸をしている。

タクシーから降り立って見上げた家が写真のように窓が2か所開いていた。快晴のため、室内がオーバーヒート状態になったのだろうか?

同じように窓が開いている家が数軒あった。


そこで実際に暮らしている人にインタビューをさせていただいたところ、今日はたまたま開けているが、普段は閉めて暮らしているそうだ。

前に住んでいた家では、冬にも窓を開けて暮らしていたが、この家は夏の暑い時期に二日ほど開けただけで、閉めていても実に気持ちいい。冬は暖かく、とても快適だ。数日前に友人たちを招いてパーティ開いたが、みんながこの家はなんていう家なんだと感心していたと喜んでいた。他の人にもインタビューすると、同じような答えだった。とにかく、機械換気のある暮らしは、今までの家と比べたらとても快適だとのことだった。

フィルターの掃除はどのようにしているのか、と質問すると怪訝な顔をして「機械を見たこともないし、そんなことはしたことがない。管理会社の人が3か月に1度来てくれるから、そのときにやってくれているのだろう」と話された。

突然の訪問で、玄関先での話なので、聞きたいことはたくさんあったが遠慮した。


換気専門メーカーであるAir flow社のAlanさんが言っていた。「24時間の機械換気が正しく働く家に暮らした人は、必ずその良さを理解するはずだ」と。

まさしく、ここの住人の話はそのとおりだった。



次にはEaling駅から徒歩15分ほどの閑静な住宅街の一等地に新築中の物件を見学した。MVHR(第一種熱交換型機械換気)が入っているのは確かなのだが、あいにくとまだ作動していなかった。価格がなんと3億5千万円。EPC(エネルギー効率証明)は、完成検査を受けないことにはわからないが、たぶんトップランクされるだろうと不動産業者は言っていた。

窓の性能数値は不明だが、見た感じではU値1を下回る高性能なものだった。しかし、すべての窓枠に換気口がついていた。

この意味について、業者は「わからない」と肩をすぼめて両手を広げた。


イギリス政府は、2007年に2016年以降に新築されるすべての住宅をゼロカーボン仕様にする」と発表し、日本の住宅業界にも衝撃をもたらし、「低炭素住宅認定制度」ができたのだが、イギリスでは今のところ、不動産業者の「ゼロカーボンハウス」に対する関心は極めて低い。ということは、ユーザの関心が低いということなのではなかろうか。

「涼温な家」は低炭素住宅としての認定を受けられるが、もし、補助金や税制の優遇措置がなくなったとしたら、お客様がそれを望まれるかは疑問である。住宅の根源的な価値は、住み心地にある」という私の確信の「住み心地」を、「ゼロカーボン」に置き換える日は、まだまだずっと先のことだろうと思った。


松井 修三


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