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「いい家」をつくる会
コラム

2014111011時08分

第一種全熱交換型換気は不要か?

(イギリスで使われている第一種熱交換型換気装置MVHR)

北村忠男著/住宅づくりの新しい常識という副題のついた「高気密木造住宅をもっと知ろう」(幻冬舎ルネッサンス)を読んだ。

木造軸組住宅の高気密化の必要性を訴えている点は、高く評価していい。高気密化を図れば、「換気」が必要になるという流れも異論はない。

しかしである。

第一種全熱交換型換気についての下記の見解には、大いに疑問を覚えた。


<参考までに衛生面では、ヨーロッパ各国では住宅用熱交換器の方式に関して1970年代から全熱交換方式は非衛生的と断定しており熱交換方式は「顕熱方式」を使用しています。

それは「全熱交換器は、排気空気内の水分や汚染物が全熱交換器のエレメントを通過してしまい、衛生的であるべき給気側に汚染物質がリーク(漏れる)する」という理由からです。衛生上の点で給気を長いダクトで行う事や、熱交換器の利用はいずれもその構造内にカビ等が繁殖する事を防げず、シックハウスの原因となる事が長い経験から判明し、1990年代初めにダクト内の清掃を強制化する法律が出来ました。>


この話は、私が機械換気の必要性に目覚めた1992年頃には、日本の住宅業界でも知られており、そのためほとんどの造り手は、給気にダクトを必要としない第三種換気を選択した。

しかし考えてみれば、全熱交換の過程において5%前後のリークやリターンがあるとしても、生活上の不都合はほとんど感じられないし、それをもって不衛生だとは決めつけ難い。第三種のデメリットと比較すると問題にならない。


ヨーロッパで全熱交換が採用されないのは、当初の機械の性能に問題があったのと、何よりの理由は気候的にその必要性がほとんどないからである。

今では、これまでに再三紹介したようにヨーロッパ・北欧では顕熱交換型第一種換気が常識化しているが、北村さんは、「熱交換器換気装置は本当に省エネなのか」と、観念的な疑問を呈し、「エネルギー的にも地球環境にやさしくなく、省エネルギーの優位性はない」と断定している。


ヨーロッパで、こんな考えを披露したら笑いものになりかねない。

どうやらこの方の思考は、熱交換効率60%程度でしかなかった20年前で停止してしまったようである。

最近では、日本の津軽海峡以南に於いて、全熱交換はエネルギー的にも快適さにおいても必要であるという認識の高まりを否定するわけにはいかない。

それは「涼温換気」が、ゼロ・エネルギー化推進事業補助金交付に採択されたことからも頷ける。北村さんの意見が正しいとしたら、国土交通省が採択するわけがない。


松井 修三


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