ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

20155809時18分

部屋のニオイが気になるか?

太宰治著「晩年」の中の短編「陰火」にこんな描写がある。


「彼のうちの部屋部屋をひとつひとつ廻って歩いて、そのおのおのの部屋の香りをなつかしんだ。洋室は薬草の臭気がした。茶の間は牛乳。客間には、なにやら恥ずかしい匂いが。彼は、表二階や裏二階や、離れ座敷にもさまよい出た。いちまいの襖をするするあける度毎に、彼のよごれた胸が幽かにときめくのであった。それぞれの匂いはきっと彼に都のことを思い出させたからである」。


たしかに、そうだった。昔の家には、部屋ごとに固有のニオイがあったのを思い出す。


先日、インターネットに「部屋のニオイが気になるか?」という問いがあった。

半数以上の51.5%の人が「気になる」と回答した。

「体調や天気によって気になる」人は40.9%。


「どんなニオイが気になるか?」

1位 「生ごみ」52.1%

2位 「洗濯の室内干し」40.7%

3位 「排水溝」37.1%


「ニオイが気になるときはどうしているか?」

1位 「窓を開けて換気」80.4%

2位 「換気扇を回す」53.8%

3位 「消臭スプレーを使う」52.5%


これから梅雨の季節が近づくにつれ、部屋のニオイの悩みは多くなることだろう。

でも、「涼温な家」のようにニオイの悩みから解放されると、太宰のような文学的な表現は得られなくなってしまうだろう。

「陰火」は昭和11年、私が生まれる3年前の1936年に刊行されたのだが、その頃の家のニオイが現代の家でもしていて、悩める人が多いというのは考えさせられることである。


松井 修三


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