ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

20168215時09分

パッシブハウス


フランクフルトの中心街から、車で30分ほど走ったところで「パッシブハウス」と認定された建物だけが建てられている住宅街を視察した。

年に3日ほどしかないという35度近い暑さは、夜来の雨で和らいだが、午後には日差しがあり、27度・湿度75%の気候だった。

戸建て・2戸長屋から4階建てまでの街区は、どこもシンプルな外観の箱型ばかりで、外壁のアクセントに用いられた色彩のセンスの乏しさが気になった。

どれも一様な外観に変化を付けるには、外装材の選択しかないと言わんばかりのデザインは、すぐに見飽きてしまう。

屋根が見える住宅も建てられていたが、日本の建売住宅の方がずっとおしゃれなものが多い。


ほとんどの住宅の窓が、内倒しで開けられていた。エアコンを使わないので、暑さをしのぐには窓を開けるしかないのだろう。


「パッシブハウス」とは、ダルムシュタットにあるパッシブハウス研究所(PHI)が求める省エネルギー基準を満たしていると同所が認定した建物で、わが国ではこの住宅こそが理想だと主張する建築家や工務店主もいる。

人の発熱量だけで暖かく感じることができるほどの断熱性能に優れているというのだから、皮膚感覚が鋭敏な人や、暑さに弱い人はつらく感じる時期があると思うのだが、住人に言わせると、そんな時期は年に1週間あるかないかなので気にならないという。


家は、その土地、その家族に合うように造られるべきものなのだから、ドイツではそれでいいのだと思った。しかし、「涼温な家」が最高の住み心地を発揮する地域では過剰性能であり、「過ぎたるは及ばざるごとし」を痛感することになると断言できる。

住む人の感受性を二の次にして、省エネ性能や建築物理を最優先する家づくりを私は理想とはしたくない。


松井 修三


                   



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