ii-ie.com「いい家」をつくる会

「いい家」をつくる会
コラム

201751614時39分

「脳が喜ぶ家」とは?

大阪/美和工務店の勉強会に参加した。

ホテルの会場に到着してみると、対面の会場では大手ハウスメーカーさんがお客様を集めて営業活動をしていた。

美和さんの社員さんが、「本をプレゼントして差し上げたい気持ちです」と微笑んだ。


最初、久保田紀子さんがこんな話をした。

「私は、住宅の一番大切な価値は住み心地なのだと知った瞬間に、自分はどうすべきかを悟りました。それまでは、占いに従うことが最善の道と信じて大手ハウスメーカーさんにお願いしていたのですが、住み心地こそが住む人の幸せになるという松井さんの言葉に目を覚まされたのでした」。


勉強会に参加されてから、3年たち、5年経って、「お願いします」と来られる方は決して少なくない。住む人の幸せを心から願っての話は、参加者の心の中で年々深化し、決断に至るのだろう。


脳科学の発展が目覚ましい。

私は、脳梗塞を患ってから脳に興味を持つようになり、本を70冊ほど読んでみた。その結果、幸せとは、脳が喜ぶ状態であるということを確信するようになった。であれば、家づくりに携わる者として考えるべきことは、どうしたら住む人の脳を喜ばせるかだ。


その考えに沿って、「幸せ」を私なりに定義してみると。

「家中が心地良くて、好きなものに囲まれ、安全で安心、いつまでも健康で暮らしたいという願いが叶うこと」となる。

心地よい状態では、脳内ホルモンの「ドーパミン」が分泌され、脳波では「アルファー波」が出ることが科学的に判明している。

すると脳が活性化し、ストレスが低減・解消し、自律神経がベストコンディションとなり、体の免疫力が高まり、健康になり、病気を予防することになることは医学的に明らかなっている。


単純に言うと、日々、「いいなー、いいなー」と暮らしの中で感じるたびに、ドーパミンとアルファー波が出る。それらが幸せと健康の源泉なのだ。


私は思うのだが、住み心地の良い家に住むと感性が成長する。第二の脳ともいわれる皮膚の感覚がとくに鋭敏になる。

ところが、住み心地の悪い家に住むと五感が鈍るので老化が加速してしまう。動きが鈍り、生活不活発病(寝たきり)になる確率が高まる。


ビッグデータの収集・活用の権威者である矢野和夫さんの著書「データの見えざる手 ウェアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則」(草思社)には、人の体に装着するウェアラブルセンサを使って科学的に幸せを測定する取り組みの成果が書かれている。

なんと、「幸福を感じている人ほど動きが増える」とデータがあるのだ。


前記の「生活不活発病」は、老人医学では「廃用症候群」とも言われている。

100年生きられる時代、家を建てて後期高齢者になったら「廃用人間」扱いにはなりたくない。絶対になってはならない。


ところが、認知障害が発症する20年ほど前から脳細胞の衰えが始まり、嗅覚障害や不眠、うつ症状が出ることが分かっている。そこで最近、嗅覚検査で、認知症の兆候をつかむ簡易検査キットが発売されたという。10年以内に65歳以上の認知症患者が700万人に達するとされている時代に、住み心地の悪さ、特に「生活臭」で脳の委縮を速めてしまうような家を建てるのは愚かだと思う。


再生医療の発達も目覚ましい。認知症も治る時代が早まるかもしれないだけに、「家に何を求めるのか?」を慎重に考えるべきだ。

大手ハウスメーカーだから安心ではなく、「この家に住むと、脳が喜ぶか?」を感性に問うのだ。

空気が気持ちいいと感じられたなら、間違いなく脳が喜び活性化する家だ。

さあ、「住み心地体感ハウス」へ行ってみよう!


家は、皮膚感覚と嗅覚で選ぶべきである。視覚(住宅展示場)と聴覚(営業マンの言葉)、味覚(お弁当)を働かせるのはほどほどにして。

すると、全館空調と「涼温換気」との違いもよく分かるはずだ。


                    松井 修三


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