「いい家」をつくる会
コラム
2012年9月20日05時50分
AIRFLOW社


ロンドンの北へ向かって電車に約30分乗るとHigh Wycombe駅に着く。駅の近くに建ち並ぶ不動産業者の店の多さから、この街での中古物件の売買の活況が推測できる。
タクシーで約10分、訪問先であるAIRFLOW社にたどり着いた。
社長のAlan Sigginsさんと、技術担当のGlive Greenstreetさんが満面の笑みで出迎えてくれ、赤色の細いダクトを使った熱交換換気システム(イギリスではMVHR=Mechanical Ventilation Heat Recoveryと呼ばれている)についてのプレゼンテーションをしてくれた。
わざわざ訪問したのは、前回書いたThe Unico System社が誇る「スモールダクト」との違いを実際に見て確認しておきたかったからだ。
換気システムが住み心地に与える影響の度合いは、換気装置とダクトによって決まる。それらは自転車の両輪と同じで、両方がバランスよく機能することが大事である。一方がどんなに優れていても、他方が劣れば健康増進に役立つ住み心地は得られなくなってしまう。
AIRFLOW社の製品の最大の特徴は、施工性の簡易さにある。
コンクリート埋込専用電線管(CD管)と類似のダクトを用いるのだが、直径75ミリ・内径63ミリという細さで、直角に近く曲げても風量が落ちないというのだから、ダクト工事で悩んでいる多くのビルダーにとって感動的な福音のはずだ。
尋ねてみたらやはりすでに、日本のある住宅会社から代理店契約の申し入れがあるだけでなく、昨日は中国の会社が見学に来たそうだ。
「鉢合わせしなくてよかったですね」と、久保田さんが肩を大きくすぼめて見せたので全員が大笑いした。
スウェーデンやデンマークには優れたMVHRがあるが値段が高い。
AIRFLOW社のものは性能的に負けてはおらず、しかも値段が安い。
Sigginsさん(写真の真ん中)はダクトを自在に扱いつつ、「どうだ!」と言わんばかりに胸を張り、一段と声を大きくして説明を続けた。
最初はゆっくりだったのでよかったのだが、熱が入ると喋りが早くなり、傍らに立つGreenstreetさん(写真の右側)が私たちの表情を観察してはノートに絵を描いて補足してくれたので助かった。
私は「涼温換気」について意見を求める予定でいたのだか、あまりにも熱心に誠意あふれるプレゼンをしていただいたのと、日本の住宅会社がアプローチしている状況に配慮してしないことにした。
AIRFLOW社のシステムは、基本的に従来のものと変わったところはなく、ダクトとその施工さがユニークなだけで、「センターダクト方式」とは相容れるものではなかった。
しかし、大量生産販売をする日本の住宅会社にとって、魅力的な提案であることは間違いない。今回のイギリス訪問で、私は「センターダクト方式の換気システム」の優秀さを再認識した。
松井 修三
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