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2017年1月28日

貸家着工 8年ぶり高水準

 2016年の貸家着工が8年ぶりに40万戸を超える見通しになった。相続税の節税を目的にしたアパート建設が全国に広がっているためだ。長野、鳥取、島根など7県の前年と比べた伸び率は30%を超えた。日本の世帯数は近い将来に減少に転じるとみられ、実需を伴わない「バブル」が生じつつあると懸念する声も出始めている。
 国土交通省が月内に発表する2016年の新設住宅着工戸数は、2年連続のプラスとなるのが確実だ。貸家が前年比1割増の42万戸前後となる見込みで、全体の伸びをけん引した。40万戸台は2008年以降の高い水準となる。持ち家や分譲住宅は20万〜30万戸台で、貸家が新設住宅に占める割合は4割を超える。
 背景には2015年から始まった相続税の課税強化がある。貸家を建てると土地の評価額が下がり、相続税が減らせるため節税目的の建設が相次いだ。
 企業向けの融資が低迷するメガバンクをはじめ、地銀や信用金庫が競うように低金利のアパートローンに力を入れていることも建設を後押ししている。日銀によると、大家に対する新規貸し出しは2016年1月〜9月に約3兆5千億円と前年同期比17%増えた。
 貸家ブームは地方にも広がっている。2016年1月〜11月の地方圏の伸び率は11.7%と三大都市圏を上回った。28都道府県が2ケタの上昇率を記録し、島根、長野、富山、徳島、福島、鳥取、青森の7県は3割を超えた。
 貸家の急増に伴い、ひずみも生じている。
 不動産調査会社のタス(東京・中央)によると、首都圏のアパートの空室率は2015年夏ごろから急上昇している。神奈川県や千葉県、東京23区では35%前後に達する。業者が一定の家賃収入を保証するサブリース(転貸)方式を巡ってはトラブルもあり、国交省は契約時の説明を徹底させる対策をとった。
 日銀は1月の地域経済報告(さくらリポート)で、相続税節税や資産運用ニーズ、業者の積極的な営業スタンスなどが背景にあるという企業への聞き取り調査を公表した。「魅力の乏しい物件を中心に空室率の上昇や家賃の下落が見られる」との声を紹介し、供給過剰感の高まりで「先行きを慎重にみる向きが徐々に増えつつあるようにうかがえる」とした。
 ニッセイ基礎研究所の岡圭佑氏は「実需を伴わない貸家建設がいつまでも続くとは考えづらい。すでにピークをつけた可能性がある」と指摘する。日本の世帯数が減少し始めると、すでに430万戸ある貸家の空き家がいっそう増える可能性もある。


     2017年1月25日 日本経済新聞

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