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2020年2月28日

新型コロナとビル・ゲイツ氏

 「もし1千万人以上の人々が次の数十年で亡くなるような災害があるとすれば、戦争よりも感染性の高いウイルスが原因の可能性が大きい」。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は2015年にこんな講演をしている。

 ゲイツ氏はビジネスから引退するにあたって財団を立ち上げ、世界の病気や貧困問題に取り組んでいる。中でも、感染病対策の分野は特に力を入れているひとつだ。

 講演では、人類は核の抑制に巨額の資金を費やしたが、疫病の抑制システムではほとんど何もしていないと指摘。その前の年に流行を許したエボラ出血熱を踏まえつつ我々は次の疫病のまん延へ準備ができていない」とした。

 パンデミック(世界的な疾病の流行)が起きれば世界の富は3兆ドル(約330兆円)目減りするとの世界銀行の試算を引用。その額に比べれば対策に必要な費用はわずかだと主張し、費用対効果の説明も加えた点ではビジネスで鍛えた鋭い嗅覚も感じさせた。

 ゲイツ氏は、その当時から世界は大きく前進していないとの思いがあるに違いない。今回の新型コロナウイルスによる肺炎に対して、動きは速かった。2月初め、財団としてウイルス対策費用に最大1億ドル(約110億円)を拠出すると発表。ワクチンや治療薬の開発支援に加え、アフリカと南アジアでの感染拡大の予防に重点を置くとした。

 歴史を振り返れば、疾病の流行は経済の仕組みそのものに大きく影響を与えてきた。米スタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授の著書「暴力と不平等の人類史」によると、戦争、革命、文明崩壊と並んで疾病が、それまでの不平等をいわば暴力的に修正する機能を持った。

 疾病への深い認識と危機感を持つ強いリーダーの存在。それが政治だけでなく、ビジネス界にもいることが、その経済・社会を強く保つ理由になるようにみえる。

 

  2020年2月28日 日本経済新聞 夕刊

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