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2023年4月6日

大和ハウス、建て売り集中

大和ハウス工業は戸建て住宅の事業モデルを転換する。完成済みの建物を販売する建売住宅の割合を5割超に引き上げ、顧客の要望に応じて設計する注文住宅の割合を下げる。商談から引き渡しまで時間がかかる注文住宅は高騰する建材や人件費の価格転嫁がしにくく、利益率が悪化している。需要減の注文住宅から建売住宅市場に軸足を移す。

 建売住宅の2026年度の販売個数は21年度比で3倍超となる5000戸程度を目標にする。戸建て住宅のうち、建売住宅の割合は50%超になる。21年度で約75%を占める注文住宅は販売戸数は維持するものの、割合は50%に下がる。大和ハウスでは初めて建売住宅の割合が上回る公算が大きい。

 取り扱いを増やすため、全国に80箇所程度ある事業所で建売住宅向けの用地を取得する担当者を配置した。注文住宅の営業担当者が建売住宅も兼任していた仕組みも改め、建売住宅の専任担当者を置くことも検討している。4月からは全国を11の区に分け、それぞれに住宅事業の責任者を配置する。

 国土交通省の建築着工統計調査報告によると、22年の新設住宅着工戸数のうち、注文住宅に相当する持家は253287戸と前年比11%減少した。14年以降、30万戸を割った状態が続く。

 新型コロナウイルス流行やロシアのウクライナ侵攻によってサプライチェーン(供給網)が混乱、資材価格が急騰していることが採算を悪化させている。建設現場では人材不足も深刻で作業員の人件費もかさむ。

 注文住宅は顧客の要望に沿って建物の間取りを決める。商談から顧客に建物を引き渡すまで半年から1年程度かかるのが一般的だ。商談時に価格を決めて契約するため、引き渡しまでの期間中に当初見込みより仕入れ価格が上がった資材や人件費分を事前に提示した価格に転嫁することは難しい。

 こうした状況から大和ハウスの223月期の国内戸建て住宅事業の営業利益率は2%と、前の期と比較して約0.6ポイント低下している。

 活路を見出す建売住宅は堅調に推移する。国交省の調査報告によると、建売住宅の新設着工戸数は22年に145992戸だった。前年比3.5%増で、増加は2年連続だ。

 建売住宅は土地を仕入れて建物を建てながら販売する。住宅の間取りは業者が決めるため、建物のコストを抑えやすく販売時期も調整しやすい。資材価格の高騰分を販売価格に転嫁しやすい利点がある。引き合いの強い土地を中心に建売住宅を開発し、土地の仕入れから引き渡しにかかる期間を平均で1年弱かかっていたものを数ヶ月短縮したい考えだ。生産効率を高め、営業利益率の改善を目指す。


2023324日 日本経済新聞

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