知られては困る家づくりの真実
第三種換気(アルデ)から第一種換気装置を用いる新換気システム(CD−HEV)へリフォームしたお客様の感想は、想定したとおりに好評である。
冷気と音の侵入、そして気になっていた臭いの悩みがなくなり、暖房効果が高まったと、ほとんどの人が言われる。
私もリフォームをして、そのとおりであることを日々実感している。
第三種換気、それに続く第一種換気時代のお客様には申し訳ない気持ちで一杯である。しかし、いずれ換気装置そのものは交換の時期が来るので、そのときまでにより良いものにする努力を怠らないようにしたい。
東京と横浜の体感ハウス、そして<さらに『いい家』を求めて>の著者・久保田紀子さんの家を使わせてもらって新換気の空気の流れ、つまり換気の経路を「見える化」して再確認する実験を行った。
用いたのはカトウ光研の「レーザー可視化システム」。まず、空気の流れなのだが、レーザー光線が特殊な煙の断面を驚くばかりに鮮明にとらえて見せる。
「うわーっ、見事に対角線上に空気が流れている!」みんなの声のオクターブが上がるほど、これまでに行った各種の実証実験よりも明瞭に新換気の空気の流れを見ることができた。
次に、ホコリの様々な発生状況における動態を観察した。
「なに!? なんなの、このホコリは?」
実験に参加した全員に衝撃が走った。人がひとり動くだけで、ものすごいホコリが舞い上がる。ベッドに寝る動作を加えるとその量は倍加する。(この映像は、後日、テレビ「世界一受けたい授業」で使われた)。
この事実は、無垢の木と漆喰のような自然素材で造ろうと、ビニールクロス張りにしようと、スマートハウスであろうとなんら変わりはない。もし、カビの胞子やダニの死骸が混ざっていたら健康被害に見舞われるのは時間の問題であろう。
天井に設けてある排気口が、気持ちいいほどたしかにホコリを吸い込む。換気がおざなりな家では一体このすごい埃はどうなってしまうのだろうか。
「では、ハウスメーカーが盛んに推奨している『風の流れる家』はどうなのかな?」と社長。
そこで窓と天窓を開け観察してみることにした。
なんと、室内では見られない大きさのもの(たぶん土埃)が無数に飛散して見えた。
ハウスメーカーは、さかんに「風のシミュレーション」を自慢しているが、土埃のシミュレーションも同時に見せるべきだ。土埃の中にはカビも黄砂も花粉も混じっているのだから。
これも「知られては困る家づくりの真実」の一つであることは間違いない。
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- 松井 修三 プロフィール
- 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
- 1961年中央大学法律学科卒。
- 1972年マツミハウジング株式会社創業。
- 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
- 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
- 現在マツミハウジング(株)相談役
- 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)