海外視察旅行記
世界に誇れる、
住み心地いちばんの家を目指して
2007年8月
ドイツ編
ヨーロッパ建築を訪ねて(ドイツ)
ロマンチック街道−8
ディンケルスビュールで、古い家の省エネ改修工事現場を見た。
レンガ積みの外壁は10センチほど外側に歪んでいる。このまま改修を進めることは、日本人の感覚ではとてもできない。
しかし、このように「く」の字にゆがんだ家は数多くあるのだが、景観保護のために外観をいじることができないとなれば、そして、地震がないとなれば、ゆがみも大切に扱って改修を進めることになる。
地震がない国では、構造に関する考え方がまったくと言ってよいほどに違っている。横揺れも上下動も起こらないのだから、上からの加重だけを考えればよいので、このような積み木細工的な仕事でも許されるのだろう。
断熱の方法は、100ミリ厚の綿状断熱材による内断熱工法である。気密は建物全体でなく、各部屋を漆喰で仕上げて確保することになる。
換気装置のダクト配管が無理な場合は、窓開け換気となる。窓は、内開き、内倒しのプラスチックサッシが圧倒的に多く使われている。
街道沿いのホテルでは、空調設備はもちろんのこと、浴室にも換気扇がないところが多いので、快適さを得るには窓の開閉とカーテンの用い方を工夫する必要がある。
下の写真は「農家の塔」。謂れはわからないが、魅力のある塔だ。
ロマンチック街道−9
ネルトリンゲンからノイシュバンシュタイン城のある街シュバンガウに行く途中に、世界遺産に指定されているヴィース教会がある。
草原の真っ只中にポツンと建てられていて外観が実にシンプルなので、何も知らないで通りがかったとしたら立ち寄らないで見過ごしてしまうかもしれない。
「旅のお方よ、ちょっと中を見られるといい」と、村の古老に誘われて立ち寄ったとしよう。
ドアを押し開けて一歩中に入った瞬間に、間違いなく誰もが息を呑む。そこには、この世のものとは思えないほどに華麗なロココ様式の装飾が、正に天から降り注ぐ宝石のように光り輝いているのだ。
以下はウィキペデイァからの引用である。
1738年、ある農家の夫人がシュタインガーデン修道院の修道士が彫った「鞭打たれるキリスト」の木像をもらい受けたところ、6月14日このキリストの像が涙を流したという。教会ではこれを奇跡とは認定しなかったが、この噂は「ヴィースの涙の奇跡」として広まり、 巡礼者が農家に集まるようになった。1740年には牧草地の小さな礼拝堂に移したが、巡礼者は増える一方であった。そこでシュタインガーデン修道院が先頭に立ち、一般からの浄財を募るなどして建設資金を捻出し、1746年から建造されたのがこの教会である。1754年に献堂式が行われ、最終的に完成したのは1757年であった。設計はドイツ・ロココの完成者として名高いドミニクス・ツィンマーマンで、それまでにも数多くの建築を手がけていたが、この教会には特別な愛情と情熱を傾け、完成後もこの教会から離れることを嫌い、すぐ近くに居を移し、亡くなるまでこの教会を見守り続けた。
外観は牧場の中に建つ何の変哲もない教会だが、ロココ様式の内部の装飾はヨーロッパ随一と言われており、特にその天井画は「天から降ってきた宝石」とも讃えられている。ロマンティック街道、ドイツ・アルプス街道の観光スポットの一つとなっている。
1983年、世界遺産に登録されている。
訪ねる人は、ぜひこちら側からも見られるといい。設計者は、きっと喜んでくれると思う。しかし、玄関前と建物の脇腹に立つ木々は無いほうが建物が見栄えすると思うのだが。
ミュンヘンにて
アムステルダムのスキポール空港を飛び立って約1時間半でミュンヘン空港に着いた。
ホテルに向かう途中、タクシーの車窓から見る木々の一部は早くも紅葉しかけていた。
オランダよりもだいぶ南に位置するのに、ミュンヘンの方が寒い。
小雨降る午後3時の外気温は、12度、湿度80%。
道行く人はコートやセーターをまとい、すでに冬支度だ。
ミュンヘンには8月にも来ているのだが、そのときは暑かった
。日本とは違って夏は足早に過ぎ去り、すでに秋の気配が深まりつつある。
明日は、最後の訪問地であるフラウンホーファー建築物理研究所に向かうことになっている。
ミュンヘンで購入した内外温度計。外の温度を無線でキャッチする優れものだ。